金管五重奏の例題をひとつ
昨日の雨は午後には止んだが、そのおかげで黄砂でモヤッとしていた空気が澄んで、大変気持ちが良い。一週間が過ぎたが、昨年の数倍は忙しい。朝九時すぎには学校に着いて夜までほとんど授業というのは、50才の声も間近に聞こえる私には、かなり厳しい状況だ。それでも、大好きな音楽に囲まれて暮らせるというのはなんとも幸せで、仕事をさせて頂いて心から感謝している。
ところで、今日は唯一夜まで働かなくて良い日で、四時には終わる。と言っても10月からはじまる後期にはしっかりと夜の7時半まで延長になるので、この幸せもしばらくのことである。昨日は金管の説明用にファンファーレ(どうも学生たちは昨年やったそうだ)を作った。和音も単純にして、徹底して簡単に作ってみた。説明にはこれが一番である。単純な書法で書いておかないと、結局「私には無理」という尻込みと無理解ばかりになってしまうからだ。
ファンファーレというのは、短いものがほとんど(当たり前だ!)だが、なかなか奥が深い。私の師である七ッ矢先生は、ファンファーレが好きで集めておられたそうだが、二十歳そこそこの若造だった私は、全くそんなことは理解できないままになってしまった。少し経験を積んで、ファンファーレの奥の深さが分かってきたのは、つい最近のことである。デュカ作曲「ペリ」の有名なファンファーレやジョン・ウィリアムズが作ったロス五輪のファンファーレなどもあるが、あそこまで上手く書くのはとてもとても難しい。
こうしたものは、後期になって役立つはずである。とりあえず、今は木管五重奏を書かせている段階だ。

ファンファーレの説明用の楽譜をあげておく。(移調譜でなく実音表記であるので注意の事!)
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なるべく金管の響きの良い倍音を使うために変ロ長調を選んだ。これならば、主題が明るく響くことだろう。(mp3になっているコンピューターの音は話にならないほど非道いが・・・)
曲はA-A'-A''という三つの部分から成り立っていて、冒頭のテーマを繰り返しているだけである。ただ最後のA''だけが、テンポアップしてAllegroとなり、主題がトロンボーンとチューバのユニゾンで二度繰り返されるだけで、その上に元気の良い別の動機を配置して、前半と後半の大きな対比が出来るように構成してある。
まず、ユニゾンと和音である。トランペット二本とトロンボーン一本のユニゾンではじまる。(もちろんトロンボーンはオクターブ低くなっている)
続いて和音。密集でとっているが、バスを外しているのでチューバはまだ出てこない。下りの和音はトランペットとトロンボーンの開離での響き。結構とっちらかってしまう配置であるが、敢えて聞かせたいのでここにいれた。ホルンを途中から挟んで緩和したつもりである。そしてチューバのバスが鳴る。
4小節に閉じこめたものは以上である。
続いて、3音欠如の形、所謂空虚五度でトランペット二本にホルン、トロンボーンが転調した主題を鳴り響かせ、バスも加わる。そして、そのまま主題提示を終える。

続く部分はカノン風に主題を展開しているのだが、トロンボーンとチューバからはじまり、ホルン、そしてトランペット二本を2拍遅れのカノンとした。ただし4小節だけ。続く部分は普通の和音とバスという配置になっている。バスが順次新興で下降し、最後に少しだけ一時転調を加えている。

最後の部分は、トランペット二本とホルンが、ゆったりとした冒頭の主題を奏でるトロンボーンとチューバの上に主題を変奏した細かな動きのオブリガートを演奏する。テンポも1.5倍になり、音楽は前半と対照的に勢いのあるものになっている。
終止は、通常なら主調である変ロ調の主和音に落ち着くべきなのだろうが、前奏曲という含みをもたせたくて、敢えてフリギア終止でDのコードに終わっている。

パート譜が欲しいという方はどうぞ!但し無断での公開演奏や楽譜の頒布等は固くお断りします。
by Schweizer_Musik | 2006-04-21 18:22 | 授業のための覚え書き
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