モードによる作曲法について (中級編) -1
旋法による作曲法は様々なところで使われるようになっていった。1927年に書かれたマルティヌーの「調理場のレヴュー」という興味深い作品のスコアにはフリギア旋法によるタンゴがある。ジャズの影響を受けた新古典主義時代のマルティヌーのこの興味深いスコアは、第3楽章にチャールストンがあったりして、とても面白い曲で、近年時折耳にすることができる作品となった。ただ、CDはあまり出ていないようで、残念だ。
そのタンゴはピアノのハバネラのリズムの上にのってチェロがソロをとる。
c0042908_21281572.jpg

この音楽、クラリネットとファゴットにトランペット、バイオリンとチェロにピアノという何とも人を食ったような編成なのだが、明らかにストラヴィンスキーの「兵士の物語」の影響を受けたものとも考えられる。但し、あの作品のような多調性、多旋法はこの作品には全く出てこないが…。
しかし、ドビュッシーの後、ラヴェルなどとともに最もこのモードを使いまくったのはストラヴィンスキーとフランス6人組と呼ばれる人たち、そしてバルトークなどの新民族主義の作曲家たちだった。
ただ、マルティヌーのこの初期の作品のような素朴な教会旋法の用例は次第に少なくなっていくのは当然とも言えよう。新しい方法はより民俗的な音楽に近いものと似通った旋法を作ってそれを利用するようになっていった。
その旋法を次にあげる。
c0042908_2253311.jpg

これは、ヴィンセント・パーシケッティの「20世紀の和声法」の中に出てくるものである。それぞれの音階に対して、ドリア旋法などのように、音を一つずつずらして第1から第7(第8)旋法というヴァリアントが存在する。
例えば、スーパー・ロクリアの第2旋法から第7旋法を次にあげておく。第1旋法はもとの旋法であるから上の「合成音階表」を参照してほしい。
c0042908_225622.jpg

こうして、ここにあげたものだけで100にも上る音階が出来上がるのだ。
長調と短調の二つのモードだけでバロックの時代からロマン派の時代までの400年ほどの間、作曲が続けられてきたのに対して、旋法を拡大させていくことで、100以上の音階システムを二十世紀の作曲家たちは手に入れたのだった。
この項、更に続く。
by Schweizer_Musik | 2006-07-06 22:30 | 授業のための覚え書き
<< モードによる作曲法について (... 鶏の照り焼き丼 >>