モードによる作曲法について (中級編) -3
芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」の第1楽章は次のような音楽である。
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この音楽は次の二つの音階で出来ている。
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これはE音を主音とするリディア短の第1旋法の音階とF音を主音とするリディア短の第1旋法の音階である。

次の音楽は、バルトークの二台のピアノと打楽器のためのソナタ(1938)の第3楽章のテーマである。
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上音列の音階によって出来ていることは、すぐにわかる。伴奏は聞いて頂ければわかるようにずっとドミソの和音を二台のピアノで響かせて、その上にXylophoneでこのメロディーを提示している。
この音階をバルトークは数多くの作品で使っているので、その作例は様々な作品で聞くことができる。例えば管弦楽のための協奏曲の終楽章のテーマや弦楽のためのディヴェルティメントの第1楽章の第1主題(多少強引かも知れないが)などなど。
ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲では次のような作例を聞くことができる。
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こうしていくつかの合成音階による作例を見てきてわかることは
・基本的にモードによる作品の伴奏は、そのモードの音階によっているということ。
・根音の保続、あるいは単一コードによるハーモニーが多く、意外なほど単純な和音で出来ていること。
・倚音など、目立たない範囲で変化音が使われている程度で、モード固有の雰囲気を大切にしていること。
以上である。

音階を分析すると、ハーモニーに減三和音、あるいは増三和音が音階の上では簡単にできてしまい、それをどう回避するかが問題となることである。
古典的な教会旋法でもロクリアのように、トニックの和音が減三和音になってしまう場合もあり、この場合はどうしようもないので、第5音を省略して使うなどの方法をとらざるを得ない。
しかし、ドミナントなどでは減三和音などを臨時記号を使って短三和音や長三和音に変化させて使うことも多くある。

一方で、メロディーの特徴音(普通の長音階・短音階と比べて、異なる音を特徴音と呼ぶ)を効果的に使うことが大切で、さりげなく、それでいてしっかり強調して聞かせることが、こうしたモードで書く時の大切なポイントとなる。

さて、音階にはこの他に5音音階(ペンタトニック)、6音音階(ヘキサトニック)という、より民族的な音楽に近いものもある。
5音音階は、次のようなものがある。
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これらに対して、第1旋法から第5旋法までできるのは、今までの通りである。
6音音階については次のようなものが代表的なものである。
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まだまだ続くぞ!
by Schweizer_Musik | 2006-07-11 22:44 | 授業のための覚え書き
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