大体は朝早く起きるのだが、昨日の疲れからか、九時近くまで爆睡状態だった。私のいる部屋の前のベランダから緑の木々も見え、低層階にしてはまずまずの居住空間なのだが、先週あたりから始まった工事でとうとうシートでマンション全体が覆われてしまったために、スカパー!は見られなくなった上に窓の外の景色までが奪われてしまった。12月までこの状態だということで、どうも気が滅入る。
トゥビンの曲を昨日授業で久しぶりに聞いた。二十年近く前には(というかCDを購入した当時は)よく聞いたものだが、久しく遠ざかっていたのはただ偶然のことである。 寝起きの状態で聞き出したのはピアノ協奏曲。聞きながらこれはプロコフィエフではないかと思ってしまった。かつてどのような印象を持っていたのか全く思い出せないのだが、それでもプロコフィエフのイメージは無かったので、時が経つと印象も聞き方、あるいは感じる深さも異なって来るのだなぁとつくづく思った。 しかし、トゥビンのピアノ協奏曲は良い曲だ。1944年から1945年にかけて書かれた作だそうだ。ということは、祖国がソビエトに占領され、スウェーデンへと亡命を余儀なくされた頃と一致する。第2楽章の暗く複雑な音楽に挟まれる抒情的で詠嘆の歌はそれなのだろうか?などと勝手な解釈をしつつも、前後の楽章にそれは聞き取れなかった。 しかし、海を隔てて祖国の方をこれから三十年ほどの間見続けて、ついに帰ることなく異国の地に没したこの作曲家は、祖国の民謡や舞曲のリズムを生涯愛し、自作の中にとけ込ませていたと思う。 第2楽章はとってもモダンなラフマニノフとでも言えばいいのだろうか。しかし第3楽章の軽快な運動性とモーダルな主題は実にユニークで、彼が誰かの亜流であるというのでは決してないように思う。 おとといはバレエ組曲「カラット」を聞いて、久しぶりに魅了されてしまった。トゥビンに再びはまりつつある今日この頃、灰色の窓の外を見て嘆きつつ、今日の一曲はトゥビンのピアノ協奏曲にしよう。 私はまたしてもスウェーデンBIS盤でしかこれを持っていない。他に出ているのかも知らないが…。しかしペンティネンのピアノは誠に美しく、ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団の演奏はほぼ満足のいくもので、不満はない。(BIS/CD-401) 1988年頃のリリースなので、今も出ているのかは責任は持てないが、ナクソス・ライブラリーで聞くことができる。
by Schweizer_Musik
| 2006-10-05 10:09
| 今日の一曲
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