高雅で感傷的なワルツについて -03
さて、再開。今回はコケティッシュで魅惑的な第3曲。
この曲はバスの保続が特徴で、冒頭では第6音すなわち付加音をバスの保続としている。まずテーマ部をあげておく。
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メロディーはモードのようにも感じられるが、よく見ればわかるように6音のみで出来ている(もっと言えばファ♯がない音階である)。ヘキサトニックのメロディーはト長調の第6音を多用しているあたりに注目しておく必要があるが、左手の和音は一体何なのだろう。
バスがト長調の第6音をバスとして保続しているので、何の和音かわかりにくくなっている。では和音をわかりやすく書き出してみよう。
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これでわかりやすくなってだろう。和音は実に単純なものだ。それに第6音のバスが保続されていたにすぎない。
これを音域を広げて繰り返した後、中間部に入る。
中間部は、ラの音を経て【D音=属音】の保続から始まる。
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これは11の和音によって出来ているが、やはり属音の保続(それは属調への一時転調を含んでいることに留意せよ)が特徴的だ。属音の保続に続いて属調の平行調であるロ短調に転調して、その属音であるFis音の保続が続く。その保続の上に7の和音の並行移動が行われる。この部分はバスの動きに特に注意である。そうすれば、何をしているかがよくわかる。
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まず、DからFisに移り、主調からすると平行調であるホ短調の属音の保続に移る。属調から属調の平行調、そして平行調へと転調を繰り返し、主調に戻るのである。
で冒頭のメロディーが再現される。そしてここではじめて正式にト長調の主音がバスで保続されて曲を閉じるのだ。
これはシューベルトのワルツに対するみごとなオマージュである。シューベルトのワルツはこうした転調、そしてバスの保続を伴うものが非常に多い。まさにシューベルトのラヴェル風解釈であり、それへの心からの敬意として書かれたものだといえよう。

まだまだ続く(つもり…)
by Schweizer_Musik | 2006-11-26 19:30 | 授業のための覚え書き
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