ウェーベルンの管弦楽のための協奏曲
久しぶりにウェーベルンの管弦楽のための協奏曲Op.30を聞いていた。
面白い。すこぶる面白い曲だ。
弦楽三重奏曲を契機として、ウェーベルンは再び器楽の分野に戻ってきたのだが、極端なミニチュアールに向かっていた彼が、これ以後大形式に向かい、交響曲、四重奏曲、9つの楽器のための協奏曲、ピアノのための変奏曲と完成させた彼が、その締めくくりとなったのがこの管弦楽のための変奏曲である。
変奏曲とは名ばかりで、一種のソナタ形式とも受け取れるもので、彼は音列と音色旋律の技法をここに完成させたと言ってよい。このあとカンタータ第2番を完成させて、アメリカ兵の凶弾に倒れたのだった。
次にこの作品の音列をあげておこう。
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この音列はいかにもウェーベルンらしい幾何学的なまでに純化された美しいものだと思う。前半の6つの音をEsから反逆行で作っているので、この音列は反逆行の音列を作ることができない。幾何学的に美しく作ると逆にそれだけ可能性を減じるのだが、それを補うのが大きくとられたディナーミクの変化と原色の音色を極限まで使いきったことで、豊かな情感が音楽に与えられている。
変奏曲とあるが、通常の前奏、主題、第1変奏〜というものではない。構成は次のような形で出来ている。そしてそれぞれが変奏となっているのである。
1) イントロダクション
2) 主題提示
3) 移行部
4) 副次主題提示
5) 主題の再現
6) 移行部
7) コーダ
こういう形式で出来ている。展開部を欠くソナタ形式と言えなくもない。ただ、こんなことを知らなくても充分にこの音楽は楽しむことができる。それがポイントだと言っても良いだろう。
この作品の特徴は、交響曲に聞かれた点描主義的なカノンなどの発展型ではないことにあるだろう。ウェーベルンにしては珍しくホモフォニックな点である。
また拍子感が極めて曖昧で、音楽の呼吸に合わせて拍子が自然と伸び縮みしている点が面白い。変拍子だと言われなくてはわからないだろうが、私はこういうスタイルにとても共感するところではある。
昨日の現代音楽の授業で、メシアンなどのトータル・セリエルの話をする中で、ウエーベルンの交響曲第1楽章をとりあげて簡単な分析をした。バッハの音楽の捧げ物のアレンジもスコアを提示して音色旋律などというものの説明をしたことで、久しぶりにこの曲を聞きたくなったのである。午後、10回以上、これを聞き返してみた。短いので、そんなに大変なことではない。それよりも毎回集中力を強いられるので、何度も休憩をとりながら聞いた。
スコアを見ながら聞き、分析してみてから聞き返し、ちょっとピアノで音を出してみたりしてから聞き返したりした。
ブーレーズの指揮で聞いていたのだが、この作品の録音をカラヤンが残していたら、どんな演奏だっただろうかと想像をたくましくしても聞いた。
おかげで充実した一日となった。
by Schweizer_Musik | 2007-02-01 23:21 | 授業のための覚え書き
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