エルガーの交響曲第2番をナクソスで聞く
エルガーの交響曲第2番をナクソスで聞く。指揮はエドワード・ダウンズで、オケはBBCフィルハーモニーである。もの凄く良い演奏なので、つい最後まで聞いてしまった。1909年から1911年にかけて作曲されたこの作品は2曲残されたエルガーの交響曲のその2曲目というわけだ。何故こんな当たり前のことを書くのかと言えば、第3番を「復元」して聞かせるという愚かしいことをやる者がやはりいるからである。
私はエドワード7世に捧げたというこの作品とリヒターに捧げた第1番だけで充分だと思うのだが、世の中にはそう思わない人が多いらしい。誰もエルガーになれないのだから、そんな無駄なことをしなくても良いと思うのは私一人なのだろうか?
そんな話はともかくとして、エドワード・ダウンズ卿の指揮によるこの演奏は名演である。オケは片時も集中力を欠くことなく、全力で演奏している。アンサンブルは緊密で力強さと祝典的な明るさにあふれている。イギリスの放送オケとしてBBC交響楽団に次ぐ地位のあるBBCフィルであるから、悪いはずはないのだが、この集中力は見事である。
第2楽章ラルゲットの深く悲しみに満ちた響きの中から歌が生まれていくのは感動的だ。どんな演奏で聞いたのだろう。今思い出そうとしてもどうしてもこの曲についての良い思い出がないのだ。第1番の方が多い。プレヴィンのフィリップス盤やショルティ、デイヴィス、バルビローリなど良い演奏はたくさん思い出すのだが、第2番は…。
それだけこの曲が地味なのだろうか?確かに地味な印象をもたらさないとは言えないが、この演奏のような良いものに巡り会えなかっただけのような気もする。
オーケストレーションもフランスの同時代の作曲家たち、例えばドビュッシーやラヴェルといった作曲家たちの作品と比べると、それほど独特なオーケストレーションが行われているわけでもない。ブラームスのような質実剛健な響きはあるが、淡いパステル・カラーや水彩画のような軽快さ、あるいは印象派のような光と影のコントラストなどは全く無縁の重厚さで全編が占められている。
良い音楽なのだが、重いという感じがつきまとうことも事実である。だからいつも聞くのはちょっと鬱陶しい…。でも感動がこの音楽にはある。ダウンズ卿の演奏にはそれがあふれんばかりに備わっている。歌い回しの雄弁さはどうだろう!確信に満ちた表現は説得力抜群だ。こういう音楽を聞かされるともうついつい私の涙腺が弛みいけないこととなってしまう。
第3楽章がスケルツォでなくロンドというのも変わっているなぁと思うけれど、動的な楽章としてロンドを置いたようではある。しかし私は特に凄い演奏だと思ったのは終楽章だ。
堂々とスケールの大きなこの楽章をダウンズ卿はこれ以上は考えられないほどの高い格調とスケール感で演奏している。ほとんど指定以外でのテンポの動きはないのだが、深いタメというか呼吸で演奏するので、音楽に自然と重みが蓄えられるのだ。
良い演奏だった。この曲がやっとわかったような気になった。ナクソス恐るべしである。

NAXOS/8.550635
by Schweizer_Musik | 2007-02-25 17:25 | ナクソスのHPで聞いた録音
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