ミヨーの自演盤(VOX)
毎度ナクソスばかりで恐縮であるが、ミヨーの懐かしい自演盤があったので聞いてみた。確かCDも持っていたはずだが、現在行方不明となっているので…。
オケはお世辞にも上手いとは言えない。弦のユニゾンなんて今時のちょっと上手い学生オケならこれ以上にやってくれる。弦のピッチの悪さはもうプロとはとても思えないレベルで、1970年代まではこの程度のオケが廉価盤レーベルにバンバン録音していた。おかげで「安かろう、悪かろう」というイメージが出来上がってしまったのだけれど、面白いことにこのあと10年あまり経つとこのオケが別人のように上手くなるのだから、時の移り変わりというのは面白い。
まあそんなことはともかく、熱気あふれる「屋根の上の牛」(これは作曲者ではなくフロマンの指揮)や多調性の実験的音楽である小交響曲の全六曲に加えて、バレエ音楽「男とその欲望」Op.48などが聞けるのだから悪く言うのは控えるべきか。「男とその欲望」はナクソスからカサドシュの息子が指揮するリールのオケによる極めて優れた演奏が出ているので、そちらを聞いてこの作曲者の原典を聞くべきかも。
更に興味深いのは1930年頃の作品である打楽器協奏曲が入っていることだ。しかも作曲者の指揮で。これはこの盤以外ではアンサンブル金沢での見事な演奏が出ているので、まずはそちらを聞いてからにすることをお薦めしたいが…。
ミヨーは指揮がある程度の巧さであると思う。少なくとも私などとは比べものにならないほど上手いけれど…(当たり前だ!)オケが熱いヘボという困った状態。とは言いながらもその熱さゆえに、意外と説得力を持っていて、ついつい聞いてしまうのだ。
ヴィオラ協奏曲では名手ウルリヒ・コッホがソロを担当していて、ヘボなオケに上手いソリストという奇妙な状態である。ベロフの名演がある「エクスの謝肉祭」ではシュナイダーハンといくつもの名演をのこした名ピアニスト、カール・ゼーマンがソロを担当している。これだけでもこれは永久保存したい。
やはり捜索願を出さなくては(どこに?…笑)
by Schweizer_Musik | 2007-04-04 08:03 | ナクソスのHPで聞いた録音
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