福島和夫の「冥」について (2)
「冥」についての後編である。
再び、最初の部分についてで恐縮ではあるが、この曲の冒頭のテーマを単純な音に置き換えると次のようなものになる。
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前にも書いたように、多少行ったり来たりを繰り返しながらも、半音階で上がっていく形をとっていることはこうすればよくわかる。
続く第2部は、前半と後半の二部に分かれている。
テンポが少しあがり(Piu mossoと指示されている)、動的な部分となるのであるが、最初のテーマの変奏でできている。
その最初の部分を次にあげておく。
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この最初の部分も余計な音を省いて、単純な音だけにすると次のようなものに集約されるだろう。
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こうすると、最初の部分との親近性はより実感が出てくる。但し、半音階で動く所は同じ形をとっていること、そして最後に跳躍が行われることが同じである。ただ、その跳躍が長7度の跳躍となっていることなど、異なる点ではある。
この音楽が、最初の部分の変奏であることは自明である。それは続く部分が、最初の部分と全く同じ音程関係によっていることでもわかるのだが、引用ばかりになって煩雑かもしれないので割愛する。
この後、フラッター・タンギング(巻き舌で吹く方法で、トレモロのような効果が得られる)などを用いて、展開するのであるが、音程を短2度を転回して長7度にしたり更に9度などに転回している。
低音域から最高音域まで幅広い音域を跳躍することで、音色の大きな変化を持たせて変化のある音楽となっている。ダイナミクスだけの変化から、音色の変化へと音楽は極めて効果的である。
この後、高いH音を長くのばして第2部が終わる。
続いて、少々リズム的に緩やかになった再現部(第1部の再現)が続いて音楽が終わる。
by Schweizer_Musik | 2007-05-03 21:47 | 授業のための覚え書き
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