神奈川フィルの音楽堂シリーズに行ってきた
仕事にとりかかる前に昨日の演奏会について書いておかなくては!
昨日は神奈川フィルの音楽堂シリーズで、シュナイト指揮でブリテンのシンプル・シンフォニー、ストラヴィンスキーの「プルチネルラ」組曲、そしてベートーヴェンの第1番の交響曲というプログラム。もう凄かった…。最初のブリテンは小手調べと言ったところか。しかし、名コンマスの石田氏の下、美しい神奈川フィルの弦の威力を見せつけて、プルチネルラに移るなんとも洒落た選曲となった。第3楽章をじっくりとロマンあふれる演奏で聞かせた彼らは、本当に凄い!第2楽章のピツィカートも一糸乱れぬアンサンブルで、プロの威力を聞かせた…。
続いてプルチネルラは言うなれば合奏協奏曲の姿を持つストラヴィンスキーの新古典主義の極致で、ペルゴレージのメロディーに不思議な音が付け加えられた作品。しかし、ソリストを兼ねるオケの団員たちの技量を試すような作品である。これで弦のみならず管楽器も素晴らしい奏者たちがいることを見せつけたのだ。私はあのトロンボーンの名演ぶりが忘れられない。良い奏者が私たちの町にいることに誇りをもつべきだ。
そして圧巻のベートーヴェン。この演奏会にお誘い下さったyurikamomeさんなど、第1番がこんな感動的な曲だったとは…とおっしゃっていたが、まさにそういう奇跡が起きたとしか言いようのない演奏だった。
シュナイトさんはベートーヴェンのスコアに対して、特別な解釈を施したわけでもなく、ただスコアにある音、スコアにある指示に正確で適切な表現を選んだに過ぎない。テンポも極端に遅かったり、速かったりしたわけではない。で、あんなに重心の低い、見事なサウンドが得られるのだ。全く!凄い人だ。石田さんも素晴らしい仕事をしていた。昨日の演奏には彼も満足だったのではないだろうか!
ベートーヴェンの第1番はまさにベートーヴェンの音楽だった。冒頭の和音からしてベートーヴェンの個性が明確だったのだ。ハイドン的とか、モーツァルト的とか、その影響にあるとか言うのは「嘘」だった。第九を作った作曲家が第1番として世に問う作品として書いた交響作品だったのだ。
第2楽章の重層的な構造があんなに美しく、見事に再現されたことに驚くしかない。ワルターやフルトヴェングラーに繋がる(あるいは匹敵する)名演だった。
そんなコンサートを聞くことができた私は幸せ者であった。なんて良い午後だったのだろう。返す返すも、前回の定期のブラームスを聞き逃したことが悔やまれてならない。
誰かが仕事を休んででも聞く価値があると言ったけれど、確かにそうだと思った。シュナイト氏の神奈川フィルへの登場はしばらくなさそうで、寂しいことであるが、元気に戻ってくることを心から望んでやまない。次は以前キャンセルされた「田園」だそうだ。楽しみなことである。万全を期して聞きに行くことにしよう。
さてそろそろ仕事にかかろう。(まだちょっと夕べのアルコールが抜け切れていない…あんなに飲んだのも久しぶりだった…)
by Schweizer_Musik | 2007-06-03 05:20 | 日々の出来事
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