朝から、アーロン・アヴシャロモフのピアノ協奏曲を聞きながら、戦前の中国などにおける音楽の発展の歴史について思いを馳せていた。
アーロン・アヴシャロモフと言っても、知らない方は多いだろう。ロシアに生まれ、スイスのチューリッヒで学んだ後、中国にわたり、上海交響楽団の指揮をしながら、中国の民謡などを採譜し、民族音楽と西洋音楽との融合を図った人物である。 その彼のピアノ協奏曲は中国のテーマとリズムによるものとされていて、当時の中国音楽のイメージはなるほどこんなものだったのかと思い、また、あの「黄河協奏曲」のルーツは意外にもこんなところにあったのかもという気がしてきた。 と言うより、黄河協奏曲よりも数倍優れた作品なのだ!第2楽章など極めて美しいメロディーとハーモニーで魅了する。1935年の作ということだが、こうした作品がほとんど忘れ去られた状態であることはなんとももったいないことだ。 第1楽章を聞き始めて、何の予備知識もなければ、この変なペンタトニックのエキゾチシズムに閉口して聞くのを止めてしまうかも知れない。しかし、この作曲家の意図が中国の音楽と西洋音楽の融合にあると知れば、それはラヴェルの「マ・メール・ロワ」やプッチーニの「トゥーランドット」の中に出てきた中国音楽の延長であることに気が付き、納得できる。 音楽の理解には、こうした歴史背景もある程度理解しておかないと、誤解したままになってしまうことがままあるので注意を要する。 しかし、このピアノ協奏曲、結構いける。演奏もなかなかのもの。アーロン・アヴシャロモフの孫のデイヴィッド・アヴシャロモフが指揮するモスクワ交響楽団とラリッサ・シロヴスカヤというピアニストが演奏している。いやなかなか良い演奏でおどろいた。 ナクソスにあるので、一度お聞きになられてはいかが? 6月18日10:06追記 ピアノ協奏曲はデイヴィッド・アヴシャロモフの指揮ではなく、息子のジェイコブ・アヴシャロモフ(1919年中国生まれ)の指揮でした。勘違いしてました…。 すみません
by Schweizer_Musik
| 2007-06-18 08:59
| ナクソスのHPで聞いた録音
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