昨日は朝から雨。台風で一日が終わった、7時ちょうどの防災放送で警報が出ていると遠いスピーカーからかすかに聞こえてきた。風はそれほどでもなかったけれど、雨脚が激しく、ちっょと心配していた。結局、ここ鎌倉では大した被害もなく終わったので良かったけれど、九州では大変だったみたいで、知り合いも多いこともあり、心配している。
一昨日からオルウィンを聞いている。フルート奏者としてロンドン交響楽団に在籍したこともあるほどの人で、アーノルドと同じ系列に属する作曲家と言っていいのだろうか。言語学者、詩人、美術家でもあったそうだが、こちらの業績はほとんど知らない。けれど、シャンドスのCDのジャケットが明るい風景画で統一されているので、これが彼の絵なのかもと思うが…。 昨日は彼のシンフォニックな作品を集中して聞いた。時にプロコフィエフ風の転調が聞かれたり、多調性やポリコードが聞かれたりしたがその程度であり、1950年代前半の作品までし明確な調性で書かれている。1960年代の作品以降は調性を感じさせない技巧的な作品が増えているように思われた。それでも聞きやすい作品が多く、アバンギャルドは彼とは無縁だったようだ。 最晩年の1984年に書かれた弦楽四重奏曲第3番などを聞くと、厳しい主題労作と、綿密な設計の上に書かれていることがわかる。独特な無調様式を持っていたようだが、第1主題と第2主題の対比は彼の作品の基本にあり、展開はその上に成立していて、ハイドンやベートーヴェン以来の伝統的な技法を踏襲している。 部分的にはsul ponticelloなどの音色の変化をつけているが、そうした奏法や音色の変化に対してペンデレツキやルトスワフスキーのような執着はなかったようで、ごく普通の演奏方法でできる形である。 この弦楽四重奏曲などはナクソスにはないようだ。シャンドスは廃盤はアップしていないらしいので、興味をお持ちの方はシャンドスのホーム・ページでMP3でダウンロード販売のをどうぞ。 さて、彼の音楽で最も興味を感じたのは映画音楽だった。ポップスからモード、ポリ・コード、多調性など様々な技法を屈指した作品が並んでいて、ただのBGMとは思えない充実ぶりである。 パルマーが編曲復元した1947年の映画「邪魔者は殺せ」の音楽など、当時としてもかなり斬新だったのではないだろうか。愚かな?映画会社が貴重なスコアを全部破棄してしまったため、彼の音楽は全て余人が編曲したものでしか聞けないのは残念だが、ウォルトン作品などでも良い仕事をしていたパルマーがここでも丁寧な仕事ぶりを発揮している。 レーンの編曲復元による1952年の映画「真紅の盗賊」など、モーリス・ジャールの「アラビアのロレンス」ばりの音楽で(もちろんオルウィンの方が先)卓越したモードの扱いと印象的なメロディー(これが彼の強味だ!)によって単独でも演奏会にかけられるなかなかの名作となっている。 1960年の映画「南海漂流」(日本風に言えばロビンソン漂流記?)の音楽など、もっとスペクタクルでも良いかなと思わないでもないけれど、 彼の管弦楽曲、もちろん5曲ある交響曲はもとより、2曲あるピアノ協奏曲など数多くの作品が残されていて、それらのどれもが面白かった。何か一曲あげよといわれれば、1960年に書かれた序曲「ダービー・デイ」をあげたい。オネゲルの交響的運動ばりの面白さというのは賞めすぎだろうか。オーケストレーションの上手さは驚異的だ。 これなどはスコアが欲しいと強く思った。
by Schweizer_Musik
| 2007-07-15 08:02
| ナクソスのHPで聞いた録音
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