カレル・フサの「プラハ1968年のための音楽」の楽譜を読む
1968年8月20日と言って、何の日か知っている人はどれだけいるのだろう?最近では8月15日を何の日か分からないという愚かな者もいるくらいだから、これが分からない人なら一杯いるのかも知れない。
「人間の顔」をした共産主義を目指して、政治・経済の改革が行われ、言論の自由などが達成されたチェコのドブチェク政権の行った「プラハの春」に対する、ソ連などのワルシャワ条約機構軍がチェコを武力で制圧し、改革派を一斉に「粛清」した事件である。
ナチスの悲劇の後に起こった東西冷戦による悲劇の延長でとらえても良いのかも知れないが、この事件をテーマに書かれた音楽がこのカレル・フサの「プラハ1968年のための音楽」である。
もともとは吹奏楽だったのだが、ジョージ・セルの薦めでオーケストラに編曲された版も有名で、このオケ版のスコアを私もようやく手に入れ昨日からスコアを読んでいるところ。、(今頃勉強している為体…)

全部で四つの楽章からなり、明確なプログラムを持つ。
第1楽章の冒頭、ティンパニで奏されるモティーフは全曲を統一する動機で、「抵抗の歌」の動機である。(楽譜は移調楽譜です)
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チェコでの民族主義の一つの象徴となっているフス教徒の古くから歌われてきたという戦いの歌がそれであり、これが全曲の底流となっていることに注目しなくてはならない。
ティンパニーに促されるように歌い始めるピッコロの旋律(おそらくは鳥の歌)は平和を表していると言われている。
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金管はワルシャワ条約機構の軍隊を表す。この平和の歌が鳴り響く間も半音の不気味な響きを添えている。(楽譜はBb管のトランペットのもの)
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やがてこのトランペットやトロンボーンにフラッターの機銃掃射が鳴り響き、テンポがAllegroになって、ブラスによる戦車による民主主義の蹂躙が始まるという次第である。
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こうして第1楽章が出来ている。現代の技法で書かれた描写音楽である。そして極めてメッセージ性の高い音楽である。ジョージ・セルがあんなに早く亡くなってしまわなければ、彼の指揮するクリーヴランド管弦楽団によるこの曲のスタジオ録音が残されたのではないかと夢想しているのだが…。とりあえずナクソスの2つの録音で乾きを癒そうと思う。
by Schweizer_Musik | 2007-09-03 19:07 | 授業のための覚え書き
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