弦楽四重奏。今回は少し時代を下ってシューベルトを編曲してみよう。よく知られた伴奏音形をどう割り振るのかということだけなので、それほど難しくはない。
まず、有名な「楽興の時」第3番ヘ短調である。 これを弦4に編曲する。 シューベルトはメロディーが命である。だから、メロディーのパートはそれを伸びやかに歌わせることに専念してもらうために、原則として単音で書くことにする。 では、その伴奏をどうするかという方針を決めてしまえば、あとは簡単なものである。 以下、そのポイントを簡単に解説してみよう。 こういう伴奏型は、バスと和音に分けるのが一般的だが、木管のように重音が出ない楽器にアレンジするつもりでやれば、次のようになる。 しかし、チェロが少し窮屈な感じがする。メロディーを支えるのはバスであるはずなのに、そのバスが少し安定しない感じがする。それを改善するために、私なら次のような編曲を行うだろう。 続いて、変イ長調に転調した部分で少し迷うかもしれない。伴奏のバッキングが3声になるからだ。3声の重音をヴィオラに課すことは無理である。したがってもう一つのパートにそれを担当させねばならない。それを第2ヴァイオリンに充ててみた。 さて、この後、音楽は力強いフォルテでヘ短調に戻る。メロディーではなく和音とメロディーの交替で出来ている。それを印象づけるにはどうするか。モーツァルトで勉強したダブル・ストップをここにだけ使ってみよう。 続いて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番の第1楽章から。 トゥッティについては、若干消化不良を起こしているので、シューベルトの「さすらい人幻想曲」の冒頭を用いて考えてみることにしよう。まず原曲をあげておこう。(急いで作った楽譜ゆえ、若干問題があるけれど、許されよ!) これを弦楽四重奏にするには低音の音域が足りない。もちろん重音奏法を活用してトゥッティらしい響きの広がりと力感を表現しなくてはならない。 2小節目と5小節目の十六分音符のアルペジオは続く半音階での上行がオクターブ、そして和音で隈取りされているので、十六分音符のアルペジオもオーケストレーションする場合はオクターブ・ユニゾンを加えることは十分に検討に値するだろう。 ただ、その場合、どういう配置にするかが問題となる。これらについて考えてアレンジしてみた。 トゥッティの配置は、原曲のピアノとは多少異なるが、低音での5度を避けたかったからであるが、これは私の解釈であり、異論のある方もあるだろうけれど…。 この項、更に続く。
by Schweizer_Musik
| 2007-10-18 17:59
| 授業のための覚え書き
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