変奏曲について
変奏曲形式は、作曲を学ぶ上で必ず通らなければならない道である。展開の技法や一つの楽曲中の複数の主題制作などは、この技術がなければどうしようもない。大体作曲を次々にメロディーを思いつき、それに伴奏をつけていく作業に思われている(意外と演奏を仕事としている人や演奏を勉強している者にこれが多い…)けれど、それは間違いだ。
主題を作り、これを変化させながらくり返し、この主題をもとに性格の異なる新たな主題を作り、更に変化・変容をくり返しながらくり返すという形で大体は出来ているのだ。
だから変奏曲は楽式を学ぶ上で重要な通過点で、必ず練習しなくてはならない過程であると言える。

変奏曲は大体3つのタイプに分類できる。
1) 装飾変奏
テーマに装飾を加えることで変化させていく方法である。有名なモーツァルトの「ああ、ママに言うわ」の主題による変奏曲などがこれにあたる。
2) 性格変奏
テーマの一部分だけを変奏し、拡大したり、くり返したりして発展させていく方法である。ベートーヴェンのディアベルリの主題による変奏曲がその初期の作品としてあげておこう。ベートーヴェン以降、ロマン派の作曲家たちが積極的にこのスタイルで書いており、シューマンの交響的練習曲など名作が多く書かれている。
3) 対位法的変奏
一括りにしてしまっているが、実は極めて多様なスタイルがある。パッサカリアのようにパスを定旋律としてその上に自由な対位法的な楽想を書いていく方法や、主題をさらに拡大してカノンにしたりする方法などが代表的で、後者の典型的な作例としてバッハのゴールドベルク変奏曲をあげておこう。前者のパッサカリアは現代ではシャコンヌとほとんど同義として考えてよい。古くはシャコンヌは快活な長調の音楽で、パッサカリアは重厚な短調の音楽であったようだけれど、現在では特に差はない。

さて、変奏とは主題があり、続いて第1変奏、第2変奏、第3変奏と続く。主題は歌謡形式のa-a-b-b、あるいはa-a-b-a、もしくはa-bなどの形式で書かれていることが多いが、それは変奏曲の主題として、それが書かれた当時、流行していた歌劇のアリアなどから主題が選ばれたことも影響しているかも知れない。主題そのものは、すぐに憶えられるものでないとならないから、憶えやすいものを指向したからとも考えて良いだろう。だから明確な形式(形式とは規則的な繰り返し=強調が行われるための形である)を持つことが要求される。
しかし、一方で断片的な主題でも変奏曲の主題として成立する。ベートーヴェンは「32の変奏曲ハ短調」で、たった8小節のテーマがどんどんと発展していく変奏曲を書いている。一種のパッサカリアであり、特徴的なバスの動き(半音階での下降)は第9変奏までほぼ完全な形で保持されている。
このようにテーマの長さ、形も様々である変奏曲を理解するには、結局のところできるだけ多くの作品に自ら当たってみて、詳細を調べてみる以外にないのではないかと思われる。

ではいくつかの作品の分析はこの続きで…(のつもり)
by Schweizer_Musik | 2007-10-20 13:12 | 授業のための覚え書き
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