弦楽四重奏の授業(4)
さて、この項目最終回はドビュッシーとラヴェルの作品をアレンジするという課題を説明しよう。
まず、ドビュッシーの「子どもの領分」の中の「人形のセレナード」から。
原曲は次のようなものである。
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テンポも速いので、右手のフレーズをどうするかということがある。それに同じ音域で伴奏とテーマが演奏されるということで、音量と音色に大きな差を与えないと、何をやっているのかわからなくなるかも知れない。
どうするかという方針さえ決まれば、後はスルスルと出来てしまう。ではどうするか。
バスとバッキングに分けるという方法は以前に説明した。それでやってみると次のようになるだろう。
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ただ、このやり方だと第1ヴァイオリンに5度を抑えさせなくてはならず、やや弾きにくい。とは言え、あまり気にしすぎるのもどうかと思われる。
ではこうすればどうだろう。
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こうすれば簡単に演奏できるだろうが、第1ヴァイオリンが裏拍を打ち続けるというのは、かなり速いテンポのこの曲では少し難しいこととなる。(もちろん演奏不可能というような問題ではないが…)
ならばならば次のようなやり方もあるだろう。
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こうすれば、かなり簡単に同じ効果が得られる。こうして表現のために敢えて行うことでない限り、できるだけ演奏上の困難さを排して編曲するように留意すべきであろう。
ここで、音色も大きく対比させるように、伴奏部はピツィカートを使ってみたのだが、これは解釈の問題であり、ピツィカートでなければというわけではないが、ピツィカートの方が同じ音域でのテーマの提示には都合が良いのではと思う。
上記の全てを考慮して次のようなアレンジも可能性としてはある。
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で、やや平凡なやり方ではあるが、次のようなアレンジをしてみた。
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いずれを選んでも長所短所があるので、あとは弾きやすさなどとの折り合いをどうつけるかという程度だろう。

続いて、ラヴェルのソナチネをアレンジしてみよう。原曲は次のようなものだ。
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これは両端が決まっている。ヴァイオリンとチェロがオクターブのユニゾンでメロディーを演奏するのだ。であるから、内声部に与えられた伴奏をどう編曲するかが全てと言って良いだろう。
単声であるから、第2ヴァイオリンとヴィオラはいらないという意見もわからないではないが、ペダルを使って演奏されるこの部分を編曲するなら、二声部で響きがメロディーにうまくフィットしていくようにするべきではないかと思う。だからと言って、トレモロの刻みでは原作のイメージとはかけ離れてしまう。で、私は次のようにアレンジすることにした。
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まだ続きがあるので、各自続きをやってみられるとよいだろう。
今回の課題は鍵盤楽器から選んだが、こうした編曲の実践の中からアンサンブルの書法を実際に学べば、オーケストラの作曲でコンデンスを書く時など、きっと役立つだろうと考える。まず実践!あるのみである。
この項、一応終わり。
by Schweizer_Musik | 2007-10-22 13:31 | 授業のための覚え書き
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