ウェーベルンの交響曲、第1楽章提示部の分析
ウェーベルンの交響曲は、戦後、ブーレーズやノーノなどの作曲家たちにとって重要な作品であった。この作品は徹底して贅肉をそぎ落とし、その骨組みだけが提示されているような不思議な作品で、どう聞いても親しみやすいとは言えないけれど、果たした歴史的役割の大きさは筆舌に尽くせない。
厳密な十二音で書かれているが、その音列は次のようなものである。
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この音列は逆行型がない。どの音列でも良いが試しに逆行の音列を作ってみると良い。すると、それと同じ音列があることにすぐに気がつくことだろう。逆行の音列が作られない音列については、すでに何度もとりあげたので、ここではこの程度の指摘をおいておくことにしよう。
曲は、この(基本型と反行型による)2つの音列だけで出来ているが、この音列そのものがシンメトリーで描かれているように、曲そのものもシンメトリーの考えが支配的である。

ではその音楽について見てみよう。
まず、この音楽は2つの主題がほぼ同時に提示されるという極めて独特の提示の方法がとられている。そしてそれぞれが反行カノンで書かれているのだ。スコアにその旋律線の動きをマーカーでなぞったものを次にあげておく。
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大変入り組んだものである。なぜ、こんなに入り組んでいるのかと言えば、それはウェーベルンの編み出した音色旋律という考え方によって書かれているからである。この「音色旋律」なるものは、バッハの音楽の捧げ物の6声のリチェルカーレの編曲で試みられたものでもあり、後のトータル・セリエルの考え方を先取る重要な考え方である。
が、スコアのこの線があるだけでは中々わかりにくいので、次にコンデンスにして楽器のメモを付け加えておく。
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こうするとおわかりになるだろう。またカノンの音色の選び方も、同傾向の音色を守るように書かれているところなど、音高だげでなく音色に置いても序列が存在していることがわかる。音色の順は決められた形を守り通しているのだ。
そして、注意深くスコアを読めばわかると思うが、この2つのカノンのメロディー以外に1音たりとも音は鳴らない。主題とそれ自体によって伴奏されるのである。
パズルみたいだねと言われることもあるが、そうかも知れない。しかしウェーベルンは聴感上の快感を指向しており、決して私がここでやったような分析や解説を喜んでいなかったことを最後に紹介しておきたい。
どうできているのかではなく、どう響くか、どう聞こえるかが彼にとって重要だったのだ!なんということだ!
by Schweizer_Musik | 2007-10-24 23:40 | 授業のための覚え書き
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