レーデル/バロック名曲集 ***(注目)

私が昔、中学生の時に、買って心から感動したバロック音楽のアンソロジーである。決してオーセンティックな録音ではなく、弦楽とチェンバロを中心とした室内オーケストラ用にアレンジされた作品が多く含まれている。例えばバッハの「来れ、異教徒の救い主よ」や「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」となどである。これらはクルト・レーデル自身のアレンジで演奏されているが、弦楽とフルート、オーボエ、チェンバロなどのための編曲が、もともとこうした編成だったのではと思わせられるほどで、まだ中学生だった私は、バッハがこの編成のために書いたもので、カンタータなどの中の曲だと思いこんでいた。もちろん原作はオルガンの独奏のための作品である。
またテレマンの宗教音楽をいくつも復活させている有名な研究家であるレーデルだけにテレマンの「マルコ受難曲」や「マタイ受難曲」など(バッハの作品ではない!)から抜粋して、美しいメロディーをここに聞かせてくれたりもするし、自身が優れたフルート奏者であることから、モーツァルトのアンダンテハ長調 K.315(285e)をレーデルのソロで聞かせてくれたりもする。レーデルのフルートはそう上手いとは思わないが・・・。
またハイドンのセレナーデ(実はホフシュテッターの作曲)の弦楽合奏編曲や有名名ジャゾット編曲(作曲?)によるアルビノーニのアダージョも含まれている。
どれもがとびきりの名演とは言えない。しかし、どれもが音楽への愛情あふれる演奏である。パッヘルベルの有名なカノンは、このレーデルの録音が最もロマンチックな演奏であろうし、テレマンの「アリア」(出典不明)などは他で聞けないとても美しい作品である。(私はこの曲を聞いてバロック音楽ファンになった)
ヴィヴァルディの四季の第4番 ヘ短調 RV297「冬」の第2楽章など、これ以上の演奏はいくらでもある。ヴァイオリン・ソロのクレジットがないが、はっきり言って上手いとは思えない。でも、私が今持って愛着を憶える演奏である。上手いだけではない、不思議な、本当に不思議な魅力を持ったアルバムである。広く推薦するのははばかられるが、***(注目)くらいはあげておこう。私は結構すきだ。大分前、フィリップスから出ていた時代だと思うがPHILIPS/PHCP-3687で持っている。もちろんこのUCCP-9555も同じだ。新しくリミックスしたのかは知らないが・・・。

UCCP-9555 ¥1,000(¥952) フィリップス
by Schweizer_Musik | 2005-02-20 22:52 | CD試聴記
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