シャリーノの「アスペレン組曲 」を聞く
20世紀後半のヨーロッパで重要な作曲家をあげよと言われても、評価の定まっていない音楽をあげるのはかなりの勇気を要する。
それでもイタリアの作曲家サルヴァトーレ・シャリーノのあげるのはやぶさかではない。緊張感のある意欲に満ちた作品は強烈な印象をあたえる。
代表作は「アルポクラテスの印象」という大作から「アスペレン組曲 」など、1970年代後半に発表された諸作があげられるが、それらの作品で到達した地平から未だ大きく飛躍しているとは思えない。様々な試みは行っているけれども…。
これはシャリーノの創造性の枯渇というよりも、はじめからあまりに高い完成度に到達してしまい、それ以上の地平が見えてこないと言うべきなのではないかと思う。
今日の午後、1979年に書かれたという「アスペレン組曲 」を聞きながら、その独特の弦の扱いなどに心動かされ、彼の到達したもののあまりの高みに畏怖すら感じた。
とても面白い音、サウンドを持っていて、ちょっと聞けばシャリーノとわかる個性を持っている。これはとてもとても凄いことなのだ。
私には真似できるようなものでもないし、真似したところで何の意味もないことであるが、この個性は面白い。
フルートの扱いもとても変わっている。
歌とソリスティックな室内アンサンブルによる組曲ということで、サルヴァトーレ・シャリーノ風の「ピエロ・リュネール」と言ってよかろう。

ARTS/47591-2
by Schweizer_Musik | 2007-12-27 19:30 | CD試聴記
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