ロドリーゴ考
気になって、先ほど聞きかじってやめたロドリーゴ 管弦楽作品全集 1の続き聞いた。というより別の作品を聞く。
子供のための五つの小品というピアノ連弾からオーケストラ化したもので、原作は1924年のもの。ロドリーゴ23才の頃の作品であるが、これはとてもとても面白いものだった。覇気のようなものが作品に溢れている。これがアランフェスに結実するのであろう。
歳をとるにつれて、彼の音楽からこれが失われたというのも言い過ぎで、1982年に書かれた「ある宴のための協奏曲」など、覇気あふれる作品だと思う。ただ、主題がやや類型的というか、魅力にやや乏しいので、長い楽章を弛緩させてしまう傾向があるのだ。まとめる技量というか、技術で今ひとつだと感じるのはここである。

この「子供のための五つの小品」が面白いのは、それぞれが2分〜3分という短い小品から成り立っているからだと思う。
1954年に完成した「ある貴人のための幻想曲」もそれぞれが短い小品を組み合わせた一種の組曲のような形をとっていた。そのために構成力の脆弱さが前面にでる前に、エッセンスだけで曲をさっと終えてしまえるのだ。
これが、ロドリーゴの面白さであろう。アランフェス協奏曲の第2楽章があれほど有名なのは、奇跡的なメロディーのインスピレーション故であろう。珍しく長いスパンを堪え忍ぶメロディーがロドリーゴの手になったのだ。とは言え、テンポがゆっくりだったから長いだけで、実質は小品の組み合わせである。

一方でポピュラー作曲家と揶揄する人もいるが、それは間違いだと思う。
彼は技法を追い求めるタイプでは無かったが、ポピュラー作家として生きたわけでもない。ただひたすら素朴に作曲家であったと思う。北欧の作曲家グリーグやトヴェイトなどに近い存在で、自国の音楽素材を用いるのも、民族主義ということを掲げようというよりも、素朴に自らの民族の素材が音楽に表れた結果としてあったのではないだろうか?
ロドリーゴはスペインのグリーグと評するのも、あながちハズレではなさそうである。ネガティブな評価を安易に下してはならない。慎重に!自己への戒めとして更によく聞くことにしよう。
by Schweizer_Musik | 2008-01-06 10:35 | 作曲(家)について
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