今日の授業
今日の現代音楽の授業は、三度構成の和音の7と9の和音について説明した。久しぶりに理論的な部分の説明である。
3和音、所謂トライアドは5度圏を循環する形で進行するのが、和声学、音楽理論の基本であるが、それも5度上行での循環という限定の上である。
即ち、C-G-D-A-E-H-Fis…というように組み立てられる。
しかし、ドビュッシーなどの作曲家たちはこの法則にとらわれない新しい進行を試みたのである。つまり次のような循環である。
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この循環は19世紀前半、特に古典派の作曲家たちには想像すらできない進行であっただろう。特に二度の循環はドビュッシー以降の膨大に作品に作例が聞かれる。
例えばバーバーの弦楽のためのアダージョの冒頭を見てみよう。
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こうした進行がこの作品のいたるところで聞かれる。
ドビュッシーの「沈める寺」の水中から浮かび上がる祈りの大合唱は典型的な作例であろう。
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これは、シベリウスの交響曲第6番の第1楽章のAllegro部分で次のような進行が聞かれる。
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こうして見てくると、新しい連結による和音進行がモード(旋法)の様式に寄り添って新しい姿を作り出していることがわかる。
和声法では間違いとなる進行も、こうして様式化されることで、新しい表現として完成していく。

続けて7の和音と9の和音について。
この和音、基本形で次のような種類がある。
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これを転回し、様々に配置することで、多様な響きが得られるのであるが、このことについては次回の授業でやらなくては…。

最後に次のようなメロディーをみてほしい。簡単で平凡なメロディーである。
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この単純なメロディーに9の和音でハーモナイズすると次のような音楽になる。(メロディーは上音列のモードで簡単な変奏を加えている)
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あまりきれいな音楽ではないけれど、調性が曖昧になり、響きの特徴が音楽を支配し始めるのがわかるだろう。
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この授業のあと、アカデミーの学生を相手にドビュッシーのフルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタの分析をした。独特のモードの使い方がとても面白いと話し合いながらの1時間あまり。第2楽章のロクリアの水際だった扱い方など、ただひたすら上手いと思ったけれど、この古典的なスタイルの作品が、新しいモードの実験をしているようで、晩年になってもドビュッシーはその旺盛な探求心は衰えていなかったことに驚く。

さてついでに写真を一枚。先日天神山に散歩に行った時に、その参道の階段を撮ったものである。どうだと言いたくなるほどの静寂に包まれた場所である。いかがだろう。つめたい雨も今日、学校から帰るころにはすっかりあがっていた。明日は津田さんと打ち合わせがあるので午後から出かけるけれど、その前に少し行ってみよう。これだけブログで書いたから、天神山は人で溢れているかも…(そんなわけないか)。
by Schweizer_Musik | 2008-05-14 22:03 | 授業のための覚え書き
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