クーベリックのマーラー全集から「復活」を聞く
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昔、まだ高校生だった頃、グラモフォンの箱物のレコードは憧れだった。カラヤンのベートーヴェンの交響曲全集やオイゲン・ヨッフムのハイドンのロンドン・セットやブルックナーの交響曲全集、カール・ベームのモーツァルトの交響曲全集、アマデウス四重奏団のモーツァルトのハイドン・セット、クーベリックのマーラーの交響曲全集…。
まだまだあったけれど、それらをいつか聞きたいと思いながらも、とても手が出ない価格に、指をくわえて見ているだけで、もっぱら廉価盤を漁っていたものである。

さて現在はそれらの多くが、信じられない価格でダウンロードできる事態となっている。今日はクーベリックのマーラーの交響曲全集を購入した。たった1500円でこれを手に入れた。第8番などいくつかはすでに持っているし、最近評判のライブ盤もほとんどの作品が出ているはずである。
とは言え、このスタジオ録音の価値が下がったわけではない。いや、聞いてみて改めてクーベリックという指揮者の偉大さを実感した次第である。
聞いたのは「復活」。劇的な大きさよりも、宗教的な穏やかさというか敬虔さに満ちた「原光」から終楽章がやはり素晴らしかった。まっ、この作品の最後の2つの楽章を聞かせて、感動させられないとしたら、余程ヘボな演奏である。
「原光」でのノーマ・プロクターはなかなか健闘している。終楽章での合唱も深い感動に満ちている。これは声楽作品なのだとつくづく思う。
だがしかしだ、私はこの1970年代はじめまでのバイエルン放送交響楽団のアンサンブルの凄さ!に注目したい。
クーベリックの棒は的確である。そしてアンサンブルは完璧だ。激昂したりして驚かせるようなことはない。不必要に熱くならない彼らの演奏は、聞く者にジワジワと迫ってくるような大きさ、巨大さがある。
もちろん、第1楽章の冒頭から凄まじいまでの集中力で進めていて、迫力に欠けるわけではない(誤解無きよう!!)
終楽章の金管のバンダもとても効果的で、録音の良さも特筆しておかなくてはならないだろう。録音の良さと言えば、デッカが有名だけれど、デジタル録音がはじまる少し前にあたる1970年代のステレオ録音全盛期のものは、今聞くとテープ・ノイズを除けば凄いレベルにあったと思う。
クーベリックのマーラー録音はグラモフォンのステレオ期を代表する名録音ではないだろうか?
オケの素晴らしさに対して、合唱も凄い!この町にはカール・リヒターがいたのだから、合唱が上手くて当たり前なのかも知れないが、聞き終えて感動がグングンと膨らんでいくのだ。聞いている時も感動しているのだけれど、しばらくして更に膨らんでいく…そんな演奏なのだ。
夕方から第1楽章から第3楽章をとばして「原光」から後をもう4回も聞いてしまった。で、今から5回目を聞こう。
iTunestoreにアクセスできる方で、この名演を聞いたことのない人はぜひ!

写真は今日の夕焼けである。天神山の木の写真ばかりだったので、ちょっと気分転換である。で、左のこんもりした山は…天神山である。(またかい!!笑)
by Schweizer_Musik | 2008-06-16 22:19 | CD試聴記
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