ウエーベルンの弦楽四重奏のための5楽章Op.5の第1楽章について
c0042908_20442647.jpgウェーベルンの弦楽四重奏のための5楽章Op.5を午後から勉強していた。読めば読むほど興味深いスコアで、調性を捨て、セリエルな考え方が少しずつ作品の中で試しているところが、彼が生きた過渡的な時代を表しているようで面白かった。

第1楽章は明後日の授業でとりあげる予定なので、それを少し書いてみようと思う。楽譜はこちらの上のiDisk Public フォルダ (マゼンタ)をクリックし、学生のための楽譜資料集をひらけばこの作品のファイルがあるので、それを参照すること。(但し弦楽合奏の版の方もアップしてあるので気をつけて…)

動機という概念は、その音楽の最小限の断片であるが、それは音程、もしくはリズムで表される。
まず、この作品の主動機となる音程は増8度、あるいはそれを展開した長7度となる。それが冒頭に第2ヴァイオリンとチェロが増8度、そして第1バイオリンとヴィオラが長7度の跳躍を行い印象づける。
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C-Cisの跳躍とF-Eの跳躍は転回した音程を並置したものである。
つづく第1ヴァイオリンに出て来るFis-Dis-G…の細かな音形は長7度の跳躍の間に3度などの音程を挿入した形である。これが第1主題。
この3度を使ってこの後チェロに現れるのが第2主題。
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テンポが最初は"Heftig bewegt"という指示があり4分音符=100で始まったのに、この第2主題に対しては"Etwas ruhiger"という指示で4分音符=88といささかテンポを落とすように指示されている点も注目すべきだろう。
調性を無くすことで、機能和声、調性による緊張と弛緩などが失われ、それに代わるものとしてテンポと強弱(この楽譜には書き込まなかったけれど…原譜を参照して下さい!)の変化でその役割、平板さを補っている。
更に第1主題と第2主題は響きの点で変化をつけるため、第1主題の提示では4つの楽器が常に使われているのに対して、第2主題ではチェロとヴィオラのみで始まり、それに続く部分ではチェロを除く三本の楽器が使われ、響きを薄くしている。
また16分音符を多用し、動きのある第1主題に対してテンポを落とし、さらに八分音符を中心とした音楽となっていることもあげられるだろう。
また、強弱でも第一主題ではフォルテを中心としているのに対して、第2主題ではピアノが中心となり瞑想的となっている。

注目すべきは第2主題の最後に減5度が使われているところであろう。
14小節目から26小節目までの第1主題を中心とした展開(もちろん第2主題のリズム的特徴も使われているが)で、この音程が長7度、増8度、更に第2主題の特徴となる3度の音程が展開の要素となっている。
続く27小節から43小節にかけての第2主題のテンポによる展開は第2主題のリズム的特徴を使いながら第1主題の音程的特徴を組み合わせるなど行い、その後に第1主題の展開が続き、これが再現の役割を果たしている。

演奏はラサール四重奏団による「新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲集」(Grammophone)が良いと思うがいかがだろう…。第2楽章なども面白いのだけれど…、ちょっと疲れたのでこのへんで…。
by Schweizer_Musik | 2008-07-07 19:46 | 授業のための覚え書き
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