夏…涼しくして音楽を聞こう -02. 「夏の庭園にて」
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作曲者 : DELIUS, Frederick 1862-1934 英
曲名  : 「夏の庭園にて」(1908) "In a Summer Garden"
演奏者 : リチャード・ヒコックス指揮 ボーンマス交響楽団
CD番号 : CHANDOS/CHAN9355
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ディーリアスには季節ものの音楽がたくさんあるけれど、夏はその中でも一番多いのでは?
「夏の夜、水の上にて歌える」「夏の歌」「夏の庭園」「夏至の歌」「河の上の夏の夜」「夏の夕べ」と結構出て来る。他にもあるかも知れないけれど、このシリーズでは追々とりあげていくことにし、ここでは「夏の庭園にて」という曲を紹介しよう。
開始部分は古典的なモード技法による典型であろう。モードをベースにしながら変化音を介在させて別のモードへと移って音楽がどんどん生き物のように成長・変化をとげていく様は、蝶の羽化のように幻想的で美しい。

ドイツ人の画家、ヘレン・イェルカ・ローゼンと愛し合い、彼女を連れてパリ郊外の田舎町グレ・シュル・ロアンに居を構えたのは1903年のことだった。
もともとは管弦楽のための幻想曲と呼んでいたようだが、後に手を加えて今日の形になった折、副題をはずして「夏の庭園にて」という曲名とし、妻ローゼンに捧げたのだった。
ちなみに、このグレ・シュル・ロアンは画家の村としても知られ、ミレーやコローの絵のような風景が今もそのままなのだそうだ。フランスに留学した黒田清輝なども住んだ村でもある。
そんな村の美しい庭園の音楽。夏ともなれば花は咲き、鳥や蝶が舞い…。生命の輝きがまぶしいほどであっただろう。そんな風景を、優しく見つめたのがこの音楽である。
バルビローリの名演は今も手に入るのだろうか?
手に入るならばそちらが望ましいものの、新しいヒコックス指揮ボーンマス交響楽団によるものも、ゆったりとしたテンポで歌い上げていて、実に美しい。

写真はスイス、ヴァレー州、マッターホルンへ登る途中のシュヴァルツゼーの風景である。アルプスの山の泉シリーズ、第2弾…ということで。
by Schweizer_Musik | 2008-07-13 14:57 | 夏…涼しくして音楽を聞こう
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