レコード芸術を買って・・・
最近はひたすらライブ録音全盛の時代である。古い録音を発掘してのリリースが多いのは、我が国の国内の新譜の傾向であるが、確かに新しくセッションを組んで録音すれば、大変な金額となってしまう。だからライブ録音全盛となる。
今は、ゲネプロから録音しているし、少々の傷はデジタルで修正してしまう。だから、普通の人にはライブだと気付かないことも・・・。ピッチも多少のことなら修正できてしまう。今の最先端の録音技術は大変なものだ。テープ録音の時代とすっかり様変わりしてしまった。
さて、新しい録音ができなくなったのは、大手がだらしないこともあるが、それもこれもクラシックのCDが売れないからだ。売れないのはCDコピーのせいだとコピー・コントロールをつけて、時代に逆行して見せて更に市場を冷えさせてしまった大手の馬鹿さ加減は論ずる値打ちもないが、クラシック音楽をめぐる環境は依然として苦しいものがある。
先だって、フィラデルフィア管弦楽団がギャラの値下げをしているが、この数年、新録音が聞けないオーケストラ、ソリストも多くいる。メジャー・レーベルが大合併した時、所属アーティストを大幅に契約を切ったからだが、ロンドン交響楽団など自前でCDを制作して売ろうとしたり、苦しい中でも工夫をしているのは、誰もが知っている。
スマップや浜崎あゆみのCDを作るななんて言う気はサラサラない。そういった需要によって利益が得られるわけだから、どんどん作れば良い。しかし、文化的な創造の場を無くしてしまっていいものだろうか?
新しい録音がライブ中心になると同時に、放送局に眠っていたアーカイブが続々と発掘されて商品化されている。経費は安くあがる上に、すでに評価の定まった名演奏家たちのもので、一定の売り上げが予想できるからだ。

こうした状況にナクソスやアルテ・ノヴァ、アーツ、cpoといったレーベルが一石を投じたと言えよう。
このレーベルから発売される新譜は、よく知られた名曲ばかりではない。それどころか、今まで無視されて来た作曲家の作品を積極的にとりあげ、カタログを充実させている。それがたった1000円ほどで出来ているのだ。
日本の作曲家たちにスポットをあてて、今まで知られていなかった作品が新譜として出てくる。これがたった1000円なのだ。きっと2000円や3000円だったら、あまり売れなかっただろうが、ナクソスのこのシリーズは売れた。とてもよく売れた。このことをレーベルは考えるべきだ。

レコード芸術を昨日買った。今まで発売日に必ず書店に走っていた私が、買うのを忘れていた。このところロクに読むところがないので、興味がなかったこともあるが、忘れるとは思っていなかった。で、何故忘れたか・・・。それは新譜情報は全てネットでとれること。そして試聴もネットでできること。(あの付録のCDは私は聞いたことがない。ちり紙交換に出すときにとらなくてはいけないので面倒なのでやめてほしいものだが・・・)
せいぜい新しい連載などをチェックし、輸入盤の試聴記事を読んだら終わり。昔はレコード会社の広告や店の広告もチェックしていたものだが、ほとんどがホームページを持っているので必要がないし、ニュースに至っては、月刊誌は役に立たない。
難しい時代になったものだ。もう買うのは止めようか・・・。
by Schweizer_Musik | 2005-03-02 18:03 | 音楽時事
<< ガヴリーロフ/チャイコフスキー... オイストラフ,ロストロ,リヒテ... >>