朝から溜まった洗濯をする。これは長期旅行の切ないところであるが、まっ仕方がない。部屋中を洗濯物で一杯にする。
お昼で一段落ついたので、チューリッヒをブラブラ散歩をしようと思い、出かける。 広い広い敷地に豪華な邸宅。スイスの金持ちというのは想像を絶するものらしい。邸宅というより大理石で出来た宮殿ではないか!更にこれが別宅だというのだから…もう腹もたたない。ここの裏にワーグナーを住まわせたのでは、虎の穴に羊を放すようなもの(失礼!)であった。更に旦那は普段はここにいないというのだから…。 ワーグナーの当時の元歌手の妻との三角関係が次第に露わになったのは当然で、結局、ここを去ってヴェネチアへとワーグナーは向かうこととなる。 しかし、ワーグナーがチューリッヒの歌劇場のオーケストラを使って、何度もコンサートを開き、チューリッヒの市民にオーケストラの素晴らしさを教えたことは、トーンハレ管弦楽団設立の基礎となった。 こうした偉大な人物の発するオーラのようなものに、スイスは柔軟に反応する文化的感受性を持っていたということだと私は考えている。 ヴェーゼンドンク邸(宮殿と私は呼びたいけれど)の裏にある小さな家は、博物館職員の宿舎となっているが、その前にワーグナーの鏡像などがあり、おそらくワーグナーの住んだ所である。但し、この家はワーグナー時代の家ではなく建て替えられたものだそうだけれど…。 ところで、この鏡像であるが、どこにもワーグナーという名前がなく、ワーグナーの写真や肖像を見たことのない人達にしたら、「これ誰」状態ではないだろうか?大きな木の前で、ちょっと影になっている。場所も悪く、気がつかない人も多いと思う。 別にワーグナーの像なんていらないとは私も思うのだが、せっかくあるのだから、ちゃんと設置したらよかろうにと思う次第のだけれど…。 一回りしてから再びトラムに乗って、チューリッヒ駅に戻る。駅の広いホールは市がたっていた。この駅中は色んなイベントが開かれるのだけれど、こうした市もなかなか良いものだ。何しろ天気に影響されないから…。 湖畔に広がる旧市街はなかなかに美しく、高台の城を中心に発展した典型的な城下町で、旧自害がよく保存されていることから、ヨーロッパでは人気のある町である。 ただ、東洋人にはさっぱり人気がないようだけれど、ドイツあたりの観光客は大変多いようで、沢山の観光客にあふれていた。高台のお城に付属するように建つ教会には立派なオルガンがあり、少しだけれど聞くことが出来たのは存外の喜びだった。 お城はよく保存されているが、見るところがほとんどない。しかし、お城のホールではよく演奏会が開かれているようで、君主なき現在も、お城は現役だと知った。 城から湖に向かって緩やかな下りは、展望のよいテラスになっていて、のんびり50メートルほど下ると突端に来て、そこが旧市街の端となっている。小さな修道院教会があるところを下るとバラ園がある。修道院の畑かなにかだったのではないだろうか。 1時間半ほど散歩して、再び近郊線のSバーンでチューリッヒに戻る。 湖畔を走る路線で来たので、別ルートにて帰ることにした。すると古い車両で何とも嬉しいこと!これこそ初めてスイスに来た時に乗った列車である。ただしシートは4列になっている(一等車)。 途中、ズボンのベルトが壊れる。これは替えを持ってきていないので困ったなぁと思いつつ、チューリッヒの地下街を歩いていると、日本でも知っている合い鍵や靴の修理をするところがあり、店先に男性のズボン用ベルトが揺れていた…。よしと思って壊れたベルトを見せて直せるか聞いてみたら一分ほどで直してくれた。お金もいらないという。悪いこともあれば良いこともあり…である。 そのままチューリッヒ発祥の地というべきかどうかわからないけれど、古いローマ人が築いた砦の跡?リンデンホフに行く。夕陽の射すリンデンホフの木漏れ日とそぞろ歩く人々の姿がとても美しく思えた。
by Schweizer_Musik
| 2008-09-06 11:30
| 2008年スイス音楽の旅
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