バルトークのオケコンをプレヴィンの指揮で聞く
作曲者 : BARTÓK, Béla 1881-1945 ハンガリー→米
曲名  : 管弦楽のための協奏曲 Sz.116 (1943)
演奏者 : アンドレ・プレヴィン指揮 ロスアンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : TELAEC/UCCT-4063

バルトークのオケコンをプレヴィンの指揮で聞く_c0042908_11394939.jpg前は授業で取り上げていた曲だけれど、最近ちょっとやっていないなぁ…などと思いラフマニノフを聞いたついでにとりだしておいたテラーク盤を聞いてみる。
ヤナーチェクのシンフォニエッタも一緒に入っているけれど、この名作のCD、私は一体何枚持っているのだろう…。集めているわけではないものの、いつの間にか集まってしまうのだ。
バルトークはアメリカに行って、あまり幸福な生活ではなかったようであるが、その中からこんな人類の宝のような作品を残してくれたのだから、我々はこの偉大な二十世紀の作曲家に対して感謝しなくてはならない。
誇り高いバルトークを傷つけないように、委嘱したセルゲイ・クーセヴィツキーをはじめとした音楽家たちにも感謝しなくては…。そのあたりの経緯についてはWikiの記事を参照されたい。

プレヴィンの演奏は完璧だ。こんなに美しいオケコンは滅多に聞けるものではなさそうだ。
第1楽章の展開部でのフガートの部分での声部の遠近感の付け方は見事としか言いようが無く、彼がとてつもない音楽的な鋭敏な耳を持っていることを証明してみせる。
第2楽章の「対の遊び」で聞かせるオケの技術の高さ!!ロス・フィルってやっぱり上手いなぁ…。出るのはため息ばかりなり…。
第3楽章の夜の音楽は深い闇を感じさせながら、もたれるようなことはないし、ナチの足音を笑い飛ばす第4楽章も、軽妙で楽しい。中間での哄笑はユダヤ人のプレヴィンが音楽的な流れの中で上手く処理している。
説明的になるようなことはなく、これだけでなくどこもかも実に音楽的!!
終楽章の水も漏らさぬアンサンブルは彼らなら当然だろうけれど、その音楽的なプロポーションの良さに惚れ惚れとしてしまう。どんなに音楽が盛り上がってもプレヴィンは冷静に陰影をつけ、それぞれの部分の性格を強調して聞かせる。だから安心しきって聞くことができるのだ。プロ中のプロの仕事である。

写真はバーゼル市役所。バルトークを後援したスイスの指揮者パウル・ザッヒャーの本拠地がこのバーゼルであった。
by Schweizer_Musik | 2008-09-17 11:33 | CD試聴記
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