食欲の秋だ!…音楽を聞こう -27. ケックランのソナチネ 第2番 Op.194 (1942-43)
作曲者 : KOECHLIN, Charles 1867-1950 仏
曲名  : オーボエ・ダモーレと室内アンサンブルのためのソナチネ 第2番 Op.194 (1942-43)
演奏者 : ヴィオッタ・アンサンブル(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団団員)
CD番号 : Channel Classics/08595

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の団員たちによる和声学などの音楽理論で一部の作曲家にはお馴染みの(笑)ケックランの作品である。
マスネやフォーレに学んだ1867年生まれの作曲家であるが、どうもマイナーな作曲家に分類されるのはなんとももったいない人なのだけれど…。
晩年に至っても旺盛な好奇心と、アイデアを実現する技術は衰えることはなかった。管弦楽法から和声、対位法と名教授としてフランスのみならず、アメリカやカナダでも教鞭をとったが、やはりスコラ・カントルムの教授としてのイメージが私の場合は定着している。
それは、ドビュッシーと同世代の作曲家(ドビュッシーの5歳年下、ラヴェルの8歳年上)の作曲家たちよりもずっと後の世代の作曲家のようなイメージを植え付け、保守的な作曲家、あるいはアカデミズムの権化のように思いこんでしまった嫌いがあると思う。

シャルル・ケックランのこの作品はできればそうした先入観を捨てて、ただ虚心坦懐に聞いてほしいと思う。
聞いている内にオーボエでなくオーボエ・ダモーレでなくてはならなかった意味が分かってくる。iTuneで購入したので、奏者や曲についての説明がない(こうしたことを完備できないとiTuneでのダウンロードでの音楽がクラシック・ファンに受け入れられないだろうに、そうした努力はまだ一部に留まっているのはiTuneのためにも極めて残念なことだ。

さて、オーボエ・ダモーレのソロとフルート、クラリネット、チェンバロ(ものの本によるとハープとなっているが、仔細は不明)、弦が5人という編成のアンサンブルが対峙するのだが、穏やかな第1楽章から第3楽章まで、しみじみとしたややゆったりとした楽章が続く。終楽章はリズミックな音楽となるのだけれど、全体としてはゆったりとして、いかにも人恋しい秋の風情なのだ…。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の団員たちのアンサンブルは大変美しい。ソロのオーボエ・ダモーレの響きがやや鋭くなるところが惜しいのだけれど、わずかな問題だ。そんなことよりこうした美しい作品と出会えたことに感謝したい。
秋の夜長にはまさに打って付けの作品である。広くお薦めしたい。
フィル・アップのダンディの二本のフルートとトランペット、弦楽四重奏のための古風な様式による組曲 ニ長調 Op.24 (1886)やマールテン・コニングスベルガーのバリトンを加えたプーランクの世俗カンタータ「仮面舞踏会 "Le Bal Masqué"」(1932)や、ルーセルのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための三重奏曲 Op.58 (1937)などの演奏も素晴らしい出来映えで、推薦にはやぶさかではない。
ああなんて美しいのだろう!!
by Schweizer_Musik | 2008-10-02 23:47 | 食欲の秋だ!…音楽を聞こう
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