練木繁夫の弾くリストのロ短調ソナタ
作曲者 : LISZT, Franz 1811-1886 ハンガリー
曲名  : ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178 (1852-53)
演奏者 : 練木繁夫
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この難曲を名手練木繁夫氏は、美しい抒情を湛えて再現して聞かせる。まさら見事!込み入った楽譜からテーマを浮き立たせ、ゴテゴテとした装飾の向こうから深い絶望と希望の交錯する大きなドラマを描き出す。
大変な力量のピアニストである。ヤーノシュ・シュタルケルのリサイタルやCDでの素晴らしい共演ぶりから、彼の高い音楽性は理解していたつもりだが、これほどとは思っていなかったのは、ただただ私の不明である。
深いブレスからくりだされるフォルテシモは鉛のように重く、歌い上げられるメロディーの絶望は深く、だからこそ優しく奏でられる副主題の憧れが胸をかきむしる…。
古いホロヴィッツの演奏や若いアルゲリッチの演奏、あるいは老練なアラウ、ロマンチックなポリーニ…。心に残る様々な名演の数々に比べても全く遜色を感じない練木繁夫の演奏は、大いに賞賛されるべきだ。

さて、そろそろ学校に行かなくては…。
by Schweizer_Musik | 2008-10-21 10:26 | ナクソスのHPで聞いた録音
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