ナヴァラの弾くボッケリーニのチェロ協奏曲
作曲者 : BOCCHERINI, Luigi 1743-1805 伊
曲名  : チェロ協奏曲 第9番 変ロ長調 G.482 (1785頃/グリュツマハー版)
演奏者 : アンドレ・ナヴァラ(vc), ベルンハルト・パウムガルトナー指揮ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院管弦楽団
CD番号 : DENON/COCQ-84398

これまた素晴らしい録音である。アンドレ・ナヴァラのこのLPは実は社会人になってから中古のLPで聞いたものであるが、その時もずいぶん感動したものだが、録音はちょっと残響が多すぎ、オケが遠く感じられる点が惜しいところであるが、バランスがとても良い。
古典の作品って、古楽器のものも面白いとは思うけれど、やはり私は頑固に古いスタイルのこうした演奏により深い愛着を抱く者である。
音楽がギクシャクしたり、大きな表情付けで聞く者に強い緊張を強いる物などは願い下げである。この演奏のようにゆとりのあるテンポをとって、深いブレスと大きなフレージングの中で余裕綽々たる演奏でスケール感を感じさせてほしいと思うのだ。
テンポの取り方の絶妙な間合いは、巨匠中の巨匠だけに許されたものであろう。カリオペ盤で何枚かのCDが出ているが、ナヴァラのチェロはとてもノーブルである。
更に、この盤の若いナヴァラの演奏には、水も滴る潤いがあり、安定したボウイング、深いブレスからくり出されるカンタービレは、フルニエやカザルス、フォイアマンなどの巨匠たちのものと比肩すべき素晴らしいものである。

そして、この盤でも使用されているグリュツマハー改訂版のスコアは素晴らしい!
原典もCDで聞いたけれど、馴染んでいるからというだけでないオケの書法の上手さや効果的な独奏パートなど、一度聞いてしまうと原典がちょっとショボく感じてしまうから困ってしまう…、
グリュツマハー改作版がとても上手いのだ。原典主義者の私はどう書いて良いのか、困ったものである。
ええい、良い物は良いのだということにしておこう(なんて乱暴な…)。

録音もまぁまぁ。当時の録音としては最高のものだと思う。コロンビアさん、良い仕事をしてくれましたねぇ…。感謝!!
by Schweizer_Musik | 2008-10-23 21:34 | CD試聴記
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