カテゴリ:CD試聴記( 1408 )
キャナ・ドゥ・シズィーのタイムズ "Times" (2009)を聞く
作曲者 : CANAT de CHIZY, Édith 1950- 仏
曲名  : タイムズ "Times" (2009)
演奏者 : 山田和樹指揮 BBC交響楽団
CD番号 : aeon/AECD1105

フランスの作曲家で、パリ地方国立音楽院作曲科教授のエディス・キャナ・ドゥ・シズィーの作品。彼女(名前からわかるように女流作曲家です)の2009年のオーケストラ作品を、今話題の指揮者、山田和樹氏がBBC交響楽団を振って録音したものです。
ナクソス・ミュージック・ライブラリーに録音がアップされていて、私はその音源で聞いています。(http://ml.naxos.jp/album/AECD1105)ですので、いつ録音されたのかはわかりません。

このCD(というか音源)には、彼女の管弦楽作品が5曲も収められています。その最初に収められているのがこのタイムズという作品です。
打楽器を多用した、ダイナミックな作品です。音響への興味がこの音楽の中心を成しているようです。大変ダイナミックな音楽で、オーケストラの機能を生かした作品です。間違っても、ドビュッシーなどの洒脱を期待してはいけません。
メロディーを音楽の中心に置き、それを伴奏する古典的な音楽とは一線を画した、明らかに新しい世代に属する音楽ですが、それ故、10分ほどの演奏時間は長さを感じさせられてしまいます。
メロディーを失うことは、私には音楽の生命力をも失うことのように考えるのであります。この作曲家は厳しくそうしたメロディーらしきものを徹底して拒否し続けています。これは大変筋の通った作曲態度であり、彼女の知性の高さもよくわかるります。
しかし、これは私とは全く異なる立場の音楽であります。これを批判するなどとはもちろん毛頭思いません。でもこうして山田和樹氏とBBC交響楽団によるすぐれた演奏で聞いていると、ここからも学ぶ様々なことが浮かび上がってきます。
音楽の勉強とは、果てが無いなぁと、つくづく思います。
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by Schweizer_Musik | 2014-09-30 14:04 | CD試聴記
音の干渉 丹波 明作品集より
作曲者 : TAMBA, Akira (丹波 明) 1932- 日本
曲名  : 音の干渉 第二番 (1981)
演奏者 : 高畑美登子(琴), 高田育子(琴), 後藤すみ子(三絃), 北原篁山(尺八), 平山美智子(sop)
CD番号 : ALM/ALCD-3076

声と邦楽器四人による室内楽作品です。ソプラノという洋楽の音が、日本の伝統楽器の世界と出会い、干渉し合うという音楽。
自由なリズムと固定リズムが、12音律と雑音が互いに干渉し合い、変質していくというのはとても面白く、特にソプラノの一種のヴォカリーズが、いつしか能舞台に一人立つ演者のように感じられて、私の脳を刺激してやまないのです。
「白峰」を聞きに行けないので、その代わりにこの音楽を聞き、先日の丹波先生の講演を思い出しつつ、色々なことを考えていました。
午後はこれで終わってしまいそうですが、この音楽から受ける影響に、今は素直であろうと思います。
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by schweizer_musik | 2014-09-28 16:45 | CD試聴記
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番をブッフビンダーの演奏で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1 (1800-01)
演奏者 : ルドルフ・ブッフビンダー(pf)
CD番号 : SONY(RCA)/88697875102

もういい加減にしないといけないなと思いつつも、ベートーヴェンのCDはいつの間にか集めてしまっています。特に交響曲とソナタ、弦楽四重奏の全集となるとつい…。おかげで絶対に聞き通せない量が手元にありながら、好きな曲をつまみ食いのように聞いて終わるバターンが続く始末です。

ところで、このブッフビンダーはおそらく初来日だったと思いますが、大阪で高校生の頃だったか、聞いています。確かベートーヴェンの皇帝を弾いたと思いますが、結構良い演奏で、満足して帰った記憶があります。
ただ、少し音が窮屈というか、響きが硬く、音そのものに魅力がないというか、そんな感じを持ちました。
それはその後、15年ほどして、彼の録音をCDで聞いた時にも同じ印象を持ちました。
テルデックに録音したソナタの全集はすでに手元を離れていて聞けませんが、変奏曲はまだ持っています。そしてこの何十年ぶりかの二度目の全集ですが、これはとても安かったので、つい買ってしまいました。で、さすがに若い頃の録音(と言ってもかすかな記憶でしかありませんが…まだ当時は何度も聞く習慣が残っていましたので)よりも、多少アゴーギクの変化がもたらされ、ライブ録音らしい生き生きとした表現が心地よい出来となっています。
この13番のソナタにしても、やはりよく歌う、良い演奏です。よく考えられた表現は、微塵の迷いもなく、ベートーヴェンの楽譜を確信に満ちた表現で弾ききっており、これがわずか4000円あまりで手に入れられたことは幸運だったと思います。
この中期のソナタ(と言ってもソナタ形式の楽章が1つもない極めて独創的なソナタ)が過不足のない演奏で聞けることは、はじめてこの曲を聞く人にとって良いものだと思う。
しかし、ダニエル・バレンボイムの録音(Grammophon盤、あるいはDECCA盤)、フリードリヒ・グルダの録音などと比べると冒頭からこの音楽へのときめきのようなものはこれまた微塵もなく、いかにも直球勝負で聞かせるのです。これが好きという人もいるでしょう。決して悪いものではありません。無骨というのでもなく、ただ直球で聞かせられるので納得するしかない、そんなねじせられているような演奏と申しましょうか…(笑)。
これを聞いて、フリードリヒ・グルダの1957年のMONO録音の全集(DECCA/4756835)からこの曲を聞いてみましたが、陶然とする表現に、やはりこれでないと…なんて思った次第です。
ベートーヴェンに限らず、名作というのは様々な表現、解釈が可能ですし、それぞれにイマジネーションを刺激します。そしてその演奏家の器というか、演奏家の持つ音楽性を浮き彫りにしてしまうようなところがあります。
すごいものですねぇ…。
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by schweizer_musik | 2014-09-28 00:47 | CD試聴記
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第4番をミケランジェリの演奏で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 Op.7 (1796-97)
演奏者 : アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(pf)
CD番号 : Grammophon/F35G 20195

私は高校生の頃、3番のソナタを大阪で聞きました。ミケランジェリの演奏はただただ素晴らしく、何故、こんなレガートが、こんなカンタービレが、こんなに音に陰影がつくのか…と、もう魔法を垣間見た(聞いた)ような気分でした。
多分、一生忘れることのない、奇跡の一夜だったと思います。
その彼が正規にスタジオで録音したベートーヴェンのソナタはこれと最後の32番のみというのも、残念な話です。今ではたくさんのベートーヴェンのソナタの録音が氾濫しているというのに…です。
ともかく、この奇跡的な演奏が残されたことにまずは感謝すべきでしょう。今日のノルマを終え(笑)、聞き始めたのは、小菅優さんの演奏、そして園田高弘氏の録音、続いてこれを聞きました。小菅さんの演奏も園田高弘氏の演奏もいずれも名演です。とても満足した1時間がおわり、別の曲を聴こうと思った時に、ふとこれもちょっとだけ久しぶりに聞いてみようと聞き始めたら、もう止められない…(笑)。
タップリとした冒頭の美しいこと美しいこと!あの昔日の魔法が一気に甦って来たのでした。LP時代、この曲一曲で一枚のLPが売られていました。そして私はそれを持っていました。レギュラー盤でしたが、お年玉で買った記憶があります。あれは本当によく聞いたものでした。そしてそのことも一気に甦ってきました。
高校生の頃、私にとってピアノ演奏の理想は、この演奏の中にあったと思います。これ見よがしのアゴーギクなど、どこにもない、正攻法で攻め抜いたこの演奏は、一方でそれ故に極めて個性的でもあります。この境地は、確かにミケランジェリの演奏でしか味わえないものでした。
その彼を実際に聞く機会を得た…、そのことだけでも、私は大変な幸運を手に入れたのだと思っています。
写真はその昔のLPの写真がネットにあったので、借用いたしました。

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by Schweizer_Musik | 2014-09-25 21:38 | CD試聴記
若きラドゥ・ルプーのベートーヴェン
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 (1800-03)
演奏者 : ラドゥ・ルプー(pf), ローレンス・フォスター指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : DECCA/4782922

私が音楽を聞き始めた頃、欲しいと思っていたレコードですが、大人になって、自由に買えるようになったら、今度はズビン・メータとイスラエル・フィルとのデジタル録音が出て、この演奏はなかなか聞くことが出来ませんでした。
出ていたのを、私が見逃していただけなのかも知れませんが、このDECCAへのコンチェルト録音を集成したものの中にこれが入っておりました。
他は全部持っていたのに、これが聞きたくて買ってしまいました。
いやぁ〜良かった。やはり私はこの録音にかけがえのない輝きと歌を感じるのです。ローレンス・フォスターの指揮するロンドン交響楽団はあと一歩、生気に欠けるような気もします。細かな部分で惜しいミスがあったりもします。特に木管の音の切れ際の処理が時に雑に感じられますが、受け渡しなどはとてもスムーズで、美しく、この録音からあのリリシストのキャッチフレーズが出て来たのではと思ったりもしました。
しかし、わずかな不満も、曲が進むにつれて解消していきます。どういう風に録音したのかわかりませんが、まるでライブのようにピントがだんだん合ってくるような感覚がこの曲から受けました。
昨年だったか、鎌倉芸術館で聞いたラドゥ・ルプーは、より円熟したスケールの大きさも感じられる見事なものでしたが、ここにはそれへと向かおうとする若さの横溢があります。その瑞々しさは、やはり何ものにも代え難いものなのではないでしょうか?
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by Schweizer_Musik | 2014-09-24 02:03 | CD試聴記
旧日フィルの超名演!! プロコフィエフの古典交響曲
作曲者 : PROKOFIEV, Sergei 1891-1953 露
曲名  : 交響曲 第1番 ニ長調「古典」Op.25 (1916-17)
演奏者 : イーゴル・マルケヴィッチ指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
CD番号 : EMI(TOWER-RECORD企画)/QIAG/50085

日フィル争議の結果だったのかわかりませんが、日本フィルハーモニー交響楽団が、新日本フィルハーモニー交響楽団と日本フィルハーモニー交響楽団の2つのオーケストラに分裂する前の、絶頂期に録音された(1970年5月18〜20日東京世田谷区民会館録音)名演の復活です。
忙しくて、なかなか聞けずにいたのですが、ようやく聞くことが出来ました。
ああ、なんて素晴らしいのでしょう!!日本コロンビアにペーター・マークが録音したモーツァルトの交響曲とともに、かつての日フィルの名演中の名演だと思います。このアンサンブルは世界標準で語るべきもので、決して日本の当時のオーケストラ録音としては珠玉の出来などというものではなく、当時のEuropeの一流のオーケストラを相手に回しても、決して聞き劣りするものではありません。
これほどまで、かつての日本フィルは凄いオケに育っていたということに、私たちは誇りを持ちたいと思います。そしてそのオケが無くなってしまったことに、極めて残念に思うばかりです。
もちろん、他の録音(ラヴェルの「ラ・ヴァルス」やデュカスの「魔法使いの弟子」、ファリャの「三角帽子」第2組曲)のいずれもが素晴らしい演奏で、マルケヴィッチの面目躍如たるものとなっています。まだお聞きでないという方はぜひ一度お聞きになってみて下さい。
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by Schweizer_Musik | 2014-09-24 01:09 | CD試聴記
ゴルドマルクのヴァイオリン協奏曲をミルシテインの演奏で聴く
作曲者 : GOLDMARK, Kàroly 1830-1915 ハンガリー
曲名  : ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.28 (1877出版)
演奏者 : ナタン・ミルシテイン(vn), ハリー・ブレック指揮 フィルハーモニア管弦楽団
CD番号 : Testament/SBT1047

私にはこの作品は、少々野暮ったいところが今ひとつなのですが、この演奏のあまりの見事さに、つい聞き込んでしまう…。そんな録音です。
ゴルドマルク・カーロイはブラームスと同時代に生きた作曲家で、この作品もブラームスのヴァイオリン協奏曲とほぼ同じ頃に書かれたものです。ハンガリー系、そしてユダヤ系の作曲家ということで、この時代の多くの作曲家と同様、ワーグナーの影響を受けたとされますが、この曲にはあまりそうした要素はうかがえません。
それ以上にロマン派中期の、伸びやかなメロディーと、リストのように濃厚ではないものの、どことなくエキゾチシズムの要素が入り込んで、音楽を特徴付けています。おそらくその部分が多少野暮ったいと感じさせるところなのかも知れませんが…。
確か、パールマンの美しい演奏がありました。私はこの曲をパールマンの演奏で知りました。以来、それほど多くはありませんが、いくつか聞いた中では、このミルシテインの見事な演奏が最も気に入っています。
これを取り上げようと思ったのは、PRAGAというレーベルからこの演奏が出て、それがブラームスの協奏曲(フィストラーリの指揮)とカップリングされていて、なるほどと思ったからです。
その録音は会員になれば、こちらからダウンロードできます。
http://www.classicjapan.net/music/album_view.php?album_id=28587
いずれにせよ、原盤は多分今は無きEMIで、いずれも正規録音です。PRAGAがEMIの原盤からリマスターしているのかは分かりませんが、まあまあの音質で聞けます。
by Schweizer_Musik | 2014-09-24 00:48 | CD試聴記
バッハのイタリア協奏曲をシフの演奏で聞く
c0042908_2285957.jpg作曲者 : BACH, Johann Sebastian 1685-1750 独
曲名  : イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV.971 (1734)
演奏者 : アンドラーシュ・シフ(pf)
CD番号 : DECCA/POCL-4359〜60

この曲は、ブレンデルの録音であきるほど聞いた。あれはルバートとは何かを説明するのに、最も良い実例だった。第2楽章の左手は崩さず、右手だけが揺れてカンタービレを表現する。あんなにわかりやすい演奏はなかった。
それに比べると、アンドラーシュ・シフに禁欲的である。が、このピアノの音の美しさはどうだろう。こればかりはブレンデルにはなかったものだ。
難しいものである。評価などということは更に難しいことだ。両端楽章の気持ちの良いテンポはどうだろう。決してイン・テンポでも、ザッハリッヒな表現でもなく、適度な伸び縮みがあり、音楽が自由に呼吸している、こんなに生き生きとした気持ちの良いバッハはそう聴けるものではない。
さてそろそろ寝よう。

写真はガンドリアの通り。
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by Schweizer_Musik | 2012-02-23 02:28 | CD試聴記
バルトークのコントラスツを聞く
c0042908_18551911.jpg作曲者 : BARTÓK, Béla 1881-1945 ハンガリー→米
曲名  : コントラスツ "Kontraste" SZ.111 (1938)
演奏者 : 磯部周平(cl), 漆原啓子(vn), 野平一郎(pf)
CD番号 : マイスター・ミュージック/MM 2092

冬のコンサートで、この曲をとりあげたいと思っているが、実現できるかどうか微妙な気配である。終楽章だけでもという思いでいるが、この楽章、スコルダトゥーラがあるので、わがコンミス殿はきっと厭がるのではと、心配している。
その際は誠心誠意、頭を下げて…ということにしようと思うが、ヴァイオリンとピアノとクラリネットと、我々のアンサンブルでは特に花形の奏者たちによるものだけに、良い成果が期待できると思っている。
さて、それはともかく、バルトークにこの曲を依頼したのはあのグッドマンとヨーゼフ・シゲティであった。
ちょっと変則的なトリオであるこの作品は、もともとは2楽章形式の昔バルトークが作ったラプソディー風のものをと依頼されたものだったが、それを更に拡大して3楽章のトリオ作品としてバルトークは完成させたものである。
バルトークの傑作の森は1930年代にやって来た。特にアメリカ移住前に書かれたいくつかの作品は不滅の輝きがあるが、この作品もその1つである。
第1楽章「募兵の踊り」の冒頭の新古典主義的明快さは、はるかストラヴィンスキーの「兵士の物語」のエコーのようでもある。
第2楽章の「休息」の夜の音楽は、バルトーク特有の濃密さと静けさの混じり合った強烈な印象を残すだろう。
終楽章は「急速な踊り」。G♯-D-A-E♭と調弦されたヴァイオリンが不思議でエキゾチックな悪魔の踊りを踊る。(バルトークをはじめ誰も悪魔の踊りとは言っていない。私が勝手にそう思い込んでいるだけである)
いつ聞いても興奮させられる楽章であるが、多分室内楽的にも大変な難曲なのであろう。わたしが関わっているアンサンブルの腕利きたちならと思うのだが…。
それにしても、元N響の首席だった磯部周平氏をはじめ、いつになっても美しい漆原啓子女史のヴァイオリンは水際だったものがあると思う。こんなにやれるようにならないといけないのだと、ため息がでるような名演である。
ピアノは野平一郎氏。これで悪い演奏だったら、そちらの方が事件である。心ゆくまで堪能させていただき、この水準の高さにただただ恐れ入った次第である。
ともに入っているのはメシアンの「世の終わり…」こちらも名演。そしてこれがライブで録音されたものということも含めて、ただただこの人たちの技術と集中力の高さに脱帽するのみ!
ぜひ1度お聞きあれ!

写真はキューボーデンからベットマーアルプへと向かう開けた気持ちの良い道。
by Schweizer_Musik | 2012-02-20 19:27 | CD試聴記
マーラーのさすらう若人の歌をルートヴィヒで聞く
c0042908_17364514.jpg作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名  : 歌曲集「さすらう若人の歌」(1883)
演奏者 : クリスタ・ルートヴィヒ(m-sop), アンドレ・ヴァンデルノート指揮 フィルハーモニア管弦楽団
CD番号 : EMI/TOCE-13220

珍しくマーラーを聴く。お目当てはアンドレ・ヴァンデルノート。この人は1960年代までは盛んにEMIに録音していたのに、以後、忽然と消えてしまった。
2000年頃だったと思うが、ベルギーのオケを振った録音がまとまってリリースされ、いくつか聞いたけれど、パッとしなかった。
ハイドシェックとのモーツァルトの他、モーツァルトの後期交響曲の録音もあったし、CD化もされた。但しほとんどがすぐに廃盤になってしまったのは残念である。
ルートヴィヒにはマーラーの歌曲の名唱が多いけれど、さすらう若人の歌は、1969年、カール・ベームとウィーン・フィルによるザルツブルク音楽祭ライブによるORFEO盤くらいしか私は知らない。あれも良い演奏だった。大体ルートヴィヒにあまり惰演というものがない。生身の音楽家である歌手にしては大変珍しい人だったが、このアンドレ・ヴァンデルノートとの録音はそれに先立つこと10年あまり。まだ若々しい彼女の歌声がタップリ聞けるのはありがたい。
指揮がその上、この頃が最も脂ののっていたというか、良い演奏を聞かせていたヴァンデルノートの指揮なのである。
今でこそ猫も杓子もマーラー…というのは言い過ぎだけれど、やたらとマーラーばかりというのは、ちょっとあまりに芸が無いというべきではないかと、私などは思う次第なのだ。
だから、マーラーはしばらく敬遠している。が、この録音は久しぶりに聞いて、結構はまってしまった。
ためしにカール・ベームとのライブ盤も聞いてみたのだけれど、やはりこの1958年盤の優位は揺るがなかった。
古いディートリヒ・フィッシャー=ディースカウとフルトヴェングラーのLPを毎日聞いていた頃、この曲をこんなに色々な歌手で聞ける時代が来ようとは思いもしなかった…(笑)。
by Schweizer_Musik | 2012-02-20 18:51 | CD試聴記