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そろそろ…
いかにも梅雨らしい朝である。涼しいのでありがたいけれど、これが暑くなるとたまらない…。
今朝は結構勤勉に作曲をしていたが、結局7小節オーケストレーションして終わる。手間がかかるというほどではないのだが、昔の書いた時の作品に込めた色々なイメージなどを記憶の彼方から呼び起こしながら、今の私が使える技術に置き換えていく作業が意外と面倒だったためである。
慣れてくればなんということもないのだろうが、なかなか進まない…。
そろそろ学校に行かなくては。今日と明日は遅くなるので、更新は明後日以降になる。
by Schweizer_Musik | 2009-06-30 10:29 | 日々の出来事
ホルストの歌劇「完全なる馬鹿」よりバレエ音楽
作曲者 : HOLST, Gustav 1874-1934 英
曲名  : 歌劇『どこまでも馬鹿な男』Op.39 (1918-22) 〜 バレエ音楽
演奏者 : リチャード・ヒコックス指揮 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
このアルバムは こちら

リチャード・ヒコックスが六十歳という年齢で急逝したのは昨年11月23日のことだった。その彼が亡くなる四ヶ月前に録音したのがこのCDであった。
イギリスの音楽を中心に、あまり知られていない膨大な作品を録音した彼は、もちろんスタンダードなレパートリーにおいてもその類い希なセンスと技術をいかんなく発揮したもので、どれも聞くだけの内容を持っていた。ハンドリー、そしてヒコックスとイギリスは大変な才能を立て続けに失ったのはなんとも残念なことだった。
さて、このホルストであるが、私はボストックの録音を持っているが、そのやや一直線の演奏に不満なところもあったが、このヒコックスは明らかに役者が一枚上だ。
ダグラス・ボストックの指揮したミュンヘン交響楽団よりも、BBCのオケの方が優秀というのは難しい判断だが、冒頭のボーンの演奏はBBCウェールズのオケの方に一日の長がある。木管の響きの同質性というか混ざり合い具合などは、ヒコックス盤がやはり良い。
長く私にとっては唯一の録音だったボストック盤には交響曲など入っていて、私にとって今後とも大切な一枚であり続けることだろうが、ヒコックスの優れた演奏が残されたことを素直に喜びたいと思う。
大体、ホルストと言えば「惑星」で、それ以外にも数多くの作品を書いた彼の実像は、なかなか見えてこないところがある。
しかし、セント・ポール組曲やベニ・モラ、サマセット組曲などのイギリスの民謡や面白いことに東洋などのエキゾチックなものに素材を求めたものなど、好楽家ならご存知だろうし、多調性など様々な技法にチャレンジしていたことも、もっと知られて良いはずだ。
彼の著作権がパブリック・ドメインとなってもうずいぶん経つ。演奏される機会も増え、更に編曲されて二次利用される機会(あのジュピターのヒットを思い起こせば…)も増えてきている。
「惑星」に偏ることなく、もっと色々とホルストの作品を聞いて欲しいと思う。未だ室内楽などのジャンルは全く無視に近いし、ソロ曲は残されているのだろうか?…等々色々と知りたいことがあるのだけれど…。
by Schweizer_Musik | 2009-06-30 08:33 | ナクソスのHPで聞いた録音
オーケストレーションの音だしの録音をアップした
今日もゆるゆると作曲をしたり、通院したり、テレビを見たり、音楽を聞いたり、昼寝をしたりして過ごす。
血液検査の結果はほぼ正常値で、大変うれしい。薬でコントロールしているだけであるが、治療をはじめて毎回、確実に正常になってきていたので、よく効いていたものと思う。
食事はかなり徹底して節制をしている。少し飲み会が多く、1キロほど戻ってしまったのにちょっとショックだった。気を緩めるとすぐに戻ってしまうのはまだまだ駄目だなぁと思うところである。
作曲は、昔の作品の改訂に取りかかっているのだが、部分的な手直しをやるよりも、コンデンスを作り直して、最初から書き直すことに方針転換した。チマチマ直していたら、バランスがあるので段々わけがわからなくなってしまったのだ。
いや、以前やりかけた時も、結局同じ状態だったのだけれど、まじめに書き直すつもりでやる方が早いということに気がついたということである。

ところで、私のオーケストレーションの授業をとっている学生諸氏はいつものところにおいてあるので、各自ダウンロードしておくこと。今週末には削除します。
by Schweizer_Musik | 2009-06-29 21:13 | 授業のための覚え書き
アーノンクールによるハイドンの軍隊
作曲者 : HAYDN, Franz Joseph 1732-1809 オーストリア
曲名  : 交響曲 第100番 ト長調「軍隊」Hob.I-100 (1793-94)
演奏者 : ニコラウス・アーノンクール指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

先日、金 聖響氏の指揮する神奈川フィルの演奏会でこの曲を聞いた。颯爽とした演奏であったが、全体としてこの曲のフレーズが歌い切れていない、もしくはこの曲でハイドンが意図したものが半分くらいしか結晶化出来ていない、やや消化不良の状態で帰ってしまったので、さてどんなものだったかなと思ってアーノンクールの指揮した「軍隊」を聞いてみた。
金 聖響氏は対向配置でピリオド風の奏法を極めて優れた神奈川フィルというオケに要求し、一方のニコラウス・アーノンクールはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団という天下の名器にピリオド風の奏法を要求している点で同じである。
オケはこれがN響ならコンセルトヘボウ管と比べるのはちょっと厳しいが、今の神奈川フィルは石田という天才がアンサンブルの要に座っていて、天下の美音のオケとなっているので、オケに遜色は一部の管セクションにあるけれど、弦に関しては全く問題なしである。
記憶をたよりの聞き比べ…なので、大してアテにはならないが、笑って流していただければと思う。
第1楽章の序奏は金 聖響氏はあまりと言えばあまりのテンポだった。Adagioと指定があるのだけれど、ほとんどAllerettoと読み間違えているのではと思ったほどだ。だから主部との変化というか対比が全く効かない。その点、アーノンクールは老練である。金 聖響氏より少し遅いテンポであるが、アーティキュレーションを細かくつけたり、ディナーミクの変化で序奏から活気ある音楽となっていて、更にAllegroの主部との変化が際だつのである。
更に、メロディーが色んな声部に移って音楽が立体的に広がっていくのも、さすがに大したものである。こうしたところが金 聖響氏はまだまだ平板で一本調子になっているのだ。
速いテンポが爽快感を生み出すが、それだけでは駄目だと私は思うのだが…。
第2楽章はテンポの点でも金 聖響氏の演奏は納得感があった。この楽章はあくまでAllegrettoなのであって、Adagioではないのだが、ゆっくりやる解釈とやらも珍しくない。緩徐楽章という先入観があるのだろうが、打楽器が入って楽しく盛り上がるこの楽章は、クレンペラーのように遅めのテンポで緩徐楽章としての性格を強調するよりも、金 聖響氏やアーノンクール、あるいは古典的名盤となるがビーチャムやヨッフム盤、更には最近お気に入りのアダム・フィッシャーのようにやる方が良いのではと思う。
第3楽章のメヌエットは、金 聖響氏と神奈川フィルはとても良い演奏だった。ただ私の好みはもう少し歯切れが良い方が良いのだけれど…。アーノンクールはこうした点でも私の好みである。アダム・フィッシャーのこの楽章(それになぜだかセカセカした第1楽章も!)は今ひとつ平板で、ちょっとした合いの手も響きの中に埋没気味で全集の中ではあまり気に入らない演奏となっている。
終楽章はアーノンクールの演奏はとても活気があって良いし、ピリオド風の演奏ながら、さすがの天下の名器コンセルトヘボウ管の美音が効いている。その点、神奈川フィルの一昨日の演奏も同様であった。コンマス石田氏のリードで美しい響きで歌い上げる様はなかなかのものだ。
ただ、アーノンクールの最後の賑やかな打楽器の饗宴は、私には少し品がないように思う。その点でも神奈川フィルの演奏は節度と品位がとても良い感じだった。
by Schweizer_Musik | 2009-06-29 08:50 | ナクソスのHPで聞いた録音
神奈川フィルの定期
昨日は神奈川フィルのコンサートに出かけ、色々と考え、色々と話し、たくさん飲んで、食べて…帰った。
以前に金 聖響氏が神奈川フィルに客演したのを聞いているが、常任となって私ははじめて聞く金 聖響と神奈川フィルの演奏会となった。
私の今回の関心事は、武智由香氏による新作の初演を聞くことであった。
その作品「オーケストラのたのEaux Lumieres Temps」は、「声明」や雅楽などの日本の伝統的な語法を自らの語法へと消化し、新たな創造へと結びつけた大変な力作であると思った。
ただ、こうした作品(最近とても多い感じがするが…)は、日本の雅楽や声明に西洋的な対比などが無いこともあり、どうしても平板に陥るところがあり、それをどうオーケストラの変化で補っていくかということに関心が移る。
そのあたりを武智氏は見事に描いてみせていた。特殊奏法による微妙な彩りがロングトーンを彩っていくのはなかなかに美しい聞き物だった。
第2部(だと思うが)の冒頭で、木管のソロが一つのメロディーを受け継いでいくところなど、とても美しく感じたし、決して平板に陥ることなく聞かせていたと思う。
金 聖響氏はよくオーケストラをまとめていたと思うが、はじめての作品なので細かいことは私にもわからない。
続いてのハイドンの「軍隊」は前の曲とちょっと整合性の欠く選曲で、どういう意図なのか測りかねたが、快調なテンポで聞かせていた。
それにしても、いや若い!!若いエネルギーの横溢を聞いたと思う。それは迸るようで心地よいものであった。ただ第1楽章は序奏から速すぎるというか、上滑りしているようで惜しい。もっと多くのことを語っているはずの作品が単調になってしまっているのは、彼の若さ故なのかも知れない。
このテンポを作品から受け取っている金 聖響氏の感性は大切にしつつも、それが聞く者を納得させる表現にまで確立されるには、まだ少々時間が必要なようであった。
ただ、武智氏の三管編成、+打楽器4、ハープ2にピアノ、チェレスタという大編成の後にハイドンでは、舞台転換に時間がかかり(ステージ・マネージャーは大変だっただろうな…)、演奏会としてはどうかと思う。私はあんなに待たされるのはちょっと辛いなぁと思った。

後半はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」とドビュッシーの「海」が演奏された。
めくるめく愛と死の恍惚の後に海の情景が広がる。それには「ペレアスとメリザンド」というピースが欠けていたけれど、19世紀の呪縛のようなワーグナーの半音階進行に対してのアンチテーゼであったドビュッシーの「ペレアス」、そしてその交響的展開となった「海」に聞こえる「トリスタン」の谺…がよく設計されていて、そうした意図をもって選曲されたとしたら、なかなかの策士だと思う。
ワーグナーもまた速めのテンポで快調に盛り上げている演奏だった。ややせかせかとした感じを受けるのは前半のハイドンのせいかもしれないが、速めのテンポで少々一本調子。ここはもっと様々な手練手管を使ってめくるめく世界に連れてってほしいところだが、少し若さ故の一本調子で攻めてしまい、聞きながら私はちょっと醒めてしまった。決して悪くはないが、もっと色々とスコアの行間を読んで欲しいなと思う。
私の不満はタメの浅さというか、プレスの浅さが原因ではないかと思うが、これは彼の中で更に熟成していくのを待ちたいと思う。才能豊かな指揮者の音楽的成長をこの神奈川で聞くのも大変楽しいことではないかと思う。
ドビュッシーではオケのメンバーにやや疲れが出てきて、神奈川フィルらしくないミスがチラチラと聞こえて来たが、こんなフル・マラソンをするようなプログラムなら多少割り引いて考えないと、ちょっと気の毒であろう。
一直線に進んでいくので、「風と海の対話」はちょっと痛い…(笑)感じ。耳タコの曲だけに、ちょっとした「間」とかがサッと通り過ぎてしまうのは、少しもったいない気がした。
恐らくは、後半のプロならば、現田茂夫氏が降ればもっと上手かっただろうなと思うが、はつらつとした金 聖響氏もまた魅力的だと私は思った。
これから…なのだ。
アンコールでドビュッシーの小組曲から「小舟にて」が演奏されたが、無くても良かったかなと思った。フル編成でするよりももっと小編成で透明感のある響きが身上の曲だからだ。しかし、フルートは上手かった。
弦をはじめとして神奈川フィルの音は、シュナイトさんの頃に比べて、響きが軽くなった。とは言え、美しいアンサンブル、美しい弦の響きは健在であった。チェロの山本氏もいるし、天才石田氏もコンマスの席に座っている。彼がアンサンブルの要となって今日も素晴らしい仕事ぶりであった。彼らがいる限り、このオーケストラの美しい響きは変わるものではないのだろう。うっとりする弦のセクションに、今回も魅了された。
終わっていつもの「勝手に応援する会」の「反省会」に出席。第1バイオリンの方も参加され、マチネで4時には終わったはずなのに、なんと九時半まで活発な議論が交わされ、神奈川フィルの明るい未来を心に描きつつ、家路についたのであった。
いや…よく飲んだものだ…。話しすぎて声が嗄れてしまった。皆様どうもすみません…。
by Schweizer_Musik | 2009-06-28 03:38 | 神奈川フィルを聞く
今日は…
さすがに昨日は疲れ果てて帰り、そのまま夕食を摂って寝てしまった。早く寝てしまったので(と言っても九時過ぎだが)今朝はいつもの時間から仕事をはじめることができた。
今日は久しぶりに神奈川フィルのコンサートへ出かける。立ち寄るところがあるので、そろそろ出かけなくては…。
結構忙しく毎日が過ぎていく…。
by Schweizer_Musik | 2009-06-27 12:29 | 日々の出来事
管弦楽のための前奏曲とフーガを作曲中…
今朝は少し寝坊をしてしまい、六時過ぎに仕事を開始。朝食を摂って再開して1時間。一息いれているところである。
オケ用の作品で、ずいぶん前に書いた前奏曲とフーガ(もう10年以上も前に書いた作品である…)の改訂にとりかかる。
二年ほど前に一度改訂しかけたものの、他の仕事が忙しくなってしまい、そのままになっているものである。
フーガを自作に取り入れた最初の作品で、自分がやりたいこと、あるいはやりたかったものが何か、ようやくおぼろげに見えてきた、私にとってのメルクマールとなった作品なので、思い入れがあるのだ。
古典的な調性に回帰して書いたもので、これは音楽教室の創立10周年のコンサートということであったので、無調などを敬遠した結果であったが、それが自分を再発見するきっかけとなったのだから、ありがたいものである。
N君の関わるオケで取り上げるかも知れないという一言でこの曲のことを思い出し、それから頭を離れなくなってしまった。
前奏曲の冒頭から色々と書き直すところが多い。まだ稚拙だなぁと思ったりするのは、その後の自分の成長のおかげだろうか?
古い作品の手直しというのは、絶対に自分はやらない主義でいたのだけれど、今回はじめてやって改めて、この歳になっても日々、少しずつ成長していると思った。
タイトルは仮題にして、もう少し、イメージを正確に伝えられるものを…と思っている。初演が私も思い出深い長崎であったことから、作曲する時はずっと被爆、殉教、異国、山、海、潮風がイメージにあった。前奏曲は祈りのようなイメージで、フーガは生命の復活…。短く、そしてファミリー向けの難しいことを言わないはずの曲で、語法も比較的単純なものを選んで書いたが、長崎というだけでこうしたイメージが頭に浮かんでは音楽を紡いでいた。
もう十年以上も前の話で、まだ私は会社員だった…。さて、仕事に復帰しよう。
by Schweizer_Musik | 2009-06-25 08:48 | 日々の出来事
レーガーのソナチネ第1番
作曲者 : REGER, Max 1873-1916 独
曲名  : 4つのソナチネ 第1番 ホ短調 Op.89-1 (1905)
演奏者 : マルクス・ベッカー(pf)
このアルバムは こちら

レーガーとしてはずいぶん規模の小さな作品で、なるほどソナチネだなと思うが、彼のピアノ作品はテレマンの主題による変奏曲の他はあまり聞いていないので、CD12枚分もあることに驚いた。43年の生涯で膨大な仕事をしたことに、改めて驚かされ、その仕事のほんの少ししか私は知らないことに深く反省した次第。
第1楽章はもちろん伝統的なソナタ形式で書かれているが、ソナチネでは縮小されることの多い展開部が提示部とほぼ同じ長さを持っていて、堂々たるソナタだと言っても良いほどである。
また難しいことで知られる彼のピアノ曲らしく、聞いた感じではそれほどでもないが、やはりかなり高度な演奏技術を要求する作品となっている。
第1、第2のそれぞれの主題が一時的転調を含むなど、ソナタのテーマとしてはかなり難しい処理を必要とする主題構成であるが、展開はさすがよくまとめられていて、プロ中のプロが書いただけのことはあると思った。
第2楽章は同主調のホ長調で書かれた主題と変奏。装飾変奏であるが、ホ短調に転調する第3変奏がちょっと動機に分解されて展開を行う手の込んだもの。
第3楽章は一種のカプリッチオーソである。平行調との間を行き来する戯けた主題が飛び回る。ロンド・ソナタ形式で書かれ、A-B-A-C-A-B-A-Codaという形式を持っている。
学習者用のつもりなのかどうかは分からないが、伝統的な枠内で書かれていて、この重厚・長大な作風の作曲家がメンデルスゾーンやシューマンに繫がる系譜の中に居たことを示す作品である。
マルクス・ベッカーのピアノは極めて優れていて、この作品とはじめての出会いを幸せなものにしてくれた。彼の録音した、このレーガーの全集?を聞くのは朝から実に楽しい事であった。
by Schweizer_Musik | 2009-06-23 07:32 | ナクソスのHPで聞いた録音
夏…涼しくして音楽を聞こう -37. ゲーゼの「田舎の夏の日」
作曲者 : GADE, Niels Wilhelm 1817-1890 デンマーク
曲名  : 田舎の夏の日 "En sommerdag paa landet" Op.55 (1879)
演奏者 : オーレ・シュミット指揮 ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : cpo/999362-2
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このさわやかな曲は、全5曲からなる。
第1曲 初夏 "Early"
第2曲 嵐の気配 "Stormy"
第3曲 森の孤独 "Solitude of the Woods"
第4曲 ユーモレスク "Humoresque"
第5曲 夕べ "Evening" - 愉快な田舎での生活 "Merry folk life"

なんだかうきうきしてくるようなタイトルでは?夏至を過ぎたこの季節にピッタリの曲として紹介したい。
ゲーゼは、あのタンゴの「ジェラシー」を作曲したヤコブ・ガーデと同じ綴りなので間違えやすいが、その人とは別人で、こちらは上にある通り19世紀に活躍したデンマークの作曲家である。
シューマンがユーゲントアルバムの中でG-A-D-Eという音をモチーフとしてこのガーデへの挨拶としたのは有名な話で(41番「北欧の歌 "Chant du Nord"」)、グリーグの抒情小曲集の中にもそういう曲がある(第6巻第2曲)が、こちらは教え子でもあるのだが、その作品を書く三年前に亡くなったゲーゼの追憶に書かれたものであるという。
メンデルスゾーン亡き後、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者に就任したが、戦争が勃発し翌年に母国へと戻ることを余儀なくされた。
彼はデンマークでオーケストラや合唱団を設立し、それを自ら育成し、北欧にメンデルスゾーン、シューマンなどの築いたドイツ・ロマン派の音楽を確立した。他、オルガニストとしても活躍し、更にコペンハーゲン音楽院を創設し、ニールセンやグリーグを育てた。
彼には、交響曲が8曲ある他、室内楽、ビアノ曲、声楽曲など多くの作品を残しているが、忘れ去るには惜しい佳作が多い。
自国では演奏されず、楽譜をメンデルスゾーンに送ったところ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会で取り上げたという交響曲第1番などは、堂々たる初期のドイツ・ロマン派の傑作だと私は思う。
この「田舎の夏の日」は、そんな彼が、五十歳を越えて書いた作品である。すでに巨匠として多くの人たちの尊敬を一身に集めていた彼が、肩の力を抜いて、書きたいように書いた…そんな音楽の中に、ドイツ・ロマン派の最も純粋な世界が広がっているように私には思える。
第1曲目の「初夏」からそのさわやかな響きに皆魅了されるに違いない。
だが、私が特に好きなのは第3曲「森の孤独」で、ドイツ・ロマン主義の王道を行くがごときテーマを、ゲーゼが真っ正面から描いた傑作だと私は考えている。
前後するが、第2曲の「嵐の気配」はあくまで、気配であって嵐そのものでない点がユニーク。ベートーヴェンやロッシーニなどの嵐の音楽と比較してみるのも面白いかも知れない。
作曲家としても知られるオーレ・シュミットの指揮するラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団も過不足のない演奏でまずは満足できる。
by Schweizer_Musik | 2009-06-22 09:21 | 夏…涼しくして音楽を聞こう
夏…涼しくして音楽を聞こう -36. 夏の日の恋
作曲者 : STEINER, Max 1888-1971 オーストリア→米
曲名  : 映画「避暑地の出来事」(1959) 〜 夏の日の恋
演奏者 : パーシー・フェイス・オーケストラ (Percy Faith & His Orchestra)
CD番号 : パーシーフェィス_ベストコレクション_SONY_00DP 425〜8

昔風に言えば「ムード・ミュージック」…死語だよなぁ…、今風なら…なんだろう?「イージー・リスニング・ミュージック」だろうか。
パーシー・フェイスが亡くなってもう何年だろう。彼の最大のヒットであり、楽団のテーマ・ミュージックとしても親しまれた作品である。
私の姉が千趣会で石丸 寛指揮のオーケストラによる12枚のレコードを買っていた関係で、これを知った。石丸 寛氏のアレンジはパーシー・フェイスのものとそっくりだったからだ。そしてひの第1枚目が8月号で、この曲がA面の1曲目だった。
小学生だった私は、あきるほど聞いた。他にレコードが数枚しかなかったから当然なのだが。

後にパーシー・フェイスのEP盤を手に入れ、これもよく聞いたものだ。ディスコ音楽が逸りはじめた1976年にはディスコ調の編曲で再びヒットを飛ばしたパーシー・フェイスだったから、彼もよほどこの曲が気に入っていたのだろう。

マックス・スタイナーはウィーンのアン・デア・ウィーン劇場の支配人の息子として生まれたオーストリアの作曲家。彼の名付け親はリヒャルト・シュトラウスであった。ピアノの手ほどきをブラームスから受け、ウィーン帝室音楽院(現在のウィーン音楽大学)でマーラーに作曲を学び、その有り余る才能のおかげか、四年の過程を一年で修了して卒業し、オペレッタを書いて楽壇にデビューする。
まさしく順風満帆であったが、第一次世界大戦が勃発した時、ロンドンに滞在していたため、敵国人とされ、なんとかアメリカに亡命したのが幸いしたのかどうなのか、新天地に行って、ブロードウェイのミュージカルなどで編曲、あるいはオーケストラの指揮で、ガーシュウィンやジェローム・カーン、あるいはヴィクター・ハーバートなどと仕事をしている。
次の転機は、1929年にハリウッドに招かれて映画の音楽の仕事をしたことであろう。次第に彼は映画音楽での仕事を広げていく。有名な「キング・コング」の音楽も彼であり、恐怖物の音楽のスタイルの確立に一役かったのである。
「風と共に去りぬ」の音楽をはじめ、彼が担当した音楽でヒットしたものは多いが、26回ノミネートされたアカデミー賞の音楽部門で、1935年「男の敵」、1942年「情熱の航路」、1944年「君去りし後」の三度受賞している。
1959年にワーナー・ブラザーズが制作した「避暑地の出来事」という映画は、それほど話題になったわけではないが、音楽は大ヒットをとばした。
私も映画は見たことがないが、6/8という珍しい拍子(と言ってもロッカ・バラードの三連符を6/8で書いただけのことだけれど)のこの作品の刻みをフルートやホルンに当てたアイデアは当時としては斬新なものだった。
今では、色々な編曲が出ている。ジョン・ウィリアムズ指揮ボストン・ポップス管弦楽団の演奏やエリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップス・オーケストラのように、良いものもいくつかあるけれど、私はやはり、聞き込んだこの演奏に帰って行く。
暑い夏、セミの鳴き声とこの曲が耳にこだましている…。
by Schweizer_Musik | 2009-06-21 23:20 | 夏…涼しくして音楽を聞こう