チューリッヒ室内合奏団によるシュポア/ラフの室内楽作品 ***(注目)
チューリッヒ室内合奏団によるシュポアの複弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調とラフの弦楽八重奏曲 ハ長調 Op.176のCD。
アンサンブルはそこそこながら、ややピッチが甘く合奏の精度は粗い。競合する録音の中では、シュポアの複弦楽四重奏曲を演奏しているアモイヤルが設立したカメラータ・ローザンヌの録音(CAMERATA/CMCD-28034)に遠く及ばない。1987年の録音ということだが、デットで弦がちょっと近すぎるようにも思える。もう少し距離をおいたほうが良かったのではないだろうか。
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの面々による録音(hyperion/CDA66141)は間接音が多めの録音であるものの、標準的な演奏だが、あちらは室内楽的というよりも室内オーケストラ的で、奏者同士のやりとりがなく、整然としすぎていて面白くない。シュポアはあくまで2つの弦楽四重奏のための作品であって、弦楽合奏のための作品ではないのだ。
チューリッヒ室内合奏団は演奏はそうした点で、満足はできるものの、やや奏者の水準が低い。ユニゾンで速いパッセージを演奏する時など、ピッチがずれているので、ちょっと気持ちが悪かったりするが、奏者同士のやりとりがあり、感興に富む演奏であることは疑いない。弦の響きに魅力があれば・・・。
この第1番は4曲ある複弦楽四重奏曲の中でも最も面白い作品だ。第1楽章の主題がモーツァルトに似ていたり、色々するのだが、何と言っても魅力的だ。対位法的な展開も、作曲者の技量のほどを思い知らされるほどで、傑作といえよう。
ラフの作品は、曲の面白さでついつい聞いてしまうほどである。アンサンブルの精度については多少問題はあるが・・・。1872年の作であるこの曲は、後期ロマン派の爛熟した音楽というイメージで聞き始めると大きく肩すかしを食うことになる。古典的な構成とほどよいロマンの香り。それは和声の豊かさで感じさせられるものの、基本的にはポリフォニックな発展を中心にしていて、ハーモニーをワーグナーばりに重厚にするなどということは、ラフには考えられなかったことだろう。
この名作も近頃はちょいちょいと聞けるようになって来たことは慶賀すべきだ。チューリッヒ室内合奏団の録音も、このあまりポピュラーとは言えない名曲を世の中に紹介し、再発見する機運に乗ってくれればと思う次第だ。
ロマン派の作品をこうして聞いて、直前に聞いたパインの交響曲のつまらなさと比べると、ラフやシュポアはやはり大家であったということが歴然とする。これは厳しいことだが仕方ない。

Jecklin Edition/JD -547-2
by Schweizer_Musik | 2005-03-07 09:25 | CD試聴記
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