作曲者 : DUKAS, Paul 1865-1935 仏
曲名 : 交響曲 ハ長調 (1895-96) 演奏者 : ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 CD番号 : DENON/COCO-76284 この演奏はフルネ畢生の名演ではないだろうか?デュカスがこんな厳しい音楽を書いていたなんて、「魔法使いの弟子」くらいしか聞いていないと絶対想像すらできないだろう。 デュカスは実に幅広い仕事を残している。私が大学受験の準備でベートーヴェンのソナタを練習していた時に使っていた楽譜はデュカスの校訂した楽譜だった。なかなか良い楽譜で、みんなに珍しいものを持っていると言われたけれど、中身の良さもあって私は大満足だった。 さて、それはともかくデュカスは一年に一曲程度の寡作家であった上に、自己批判が強く、1920年頃に自作の大半を破棄してしまった。自分の作品に対する厳しさは極端なほどだったと思う。 おかげで、残された作品は全部で13曲ほど…。でもそのことごとくが偉大な作品であることは言を待たない。 彼はドビュッシーと同世代であった上、パリ音楽院の教授を長く務め、メシアンなどを育てたのだ。その彼の唯一残された(破棄を免れた)交響曲である。心して聞く必要がある。 さて、フルネがこの作品に対する集中力!はもう壮絶と言える。冒頭からはち切れんばかりの響きでオーケストラが応え、全三楽章、息もつかせぬ演奏を聞かせる。 第2楽章なんて、それこそ涙なくしては聞けない絶唱…。ああ良い音楽だ。 速い部分でちょっと残響が多すぎ、ディティールが混濁するのはちょっと気になるが、わずかな傷でこの音楽を敬遠するのはもったいない。 偉大なマエストロを偲んで聞いてほしい一枚である…。
by Schweizer_Musik
| 2008-11-04 22:40
| CD試聴記
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