シュヴァイツェル指揮ORCHESTRA21の演奏会 TANGO pur !
穏やかで良いお天気の朝であるが、昨日の夜、授業を終えてからあの有楽町のタイ料理に卒業生たちと一緒に出かけ、しっかり午前様となって帰ったため、寝坊をしてしまった。
何度か目がさめたのだけれど、どうしても起きられず…(笑)。
朝、起きて津田さんからお便りが届いていた。なんと先日、ご主人のダニエル・シュヴァイツェル氏(Daniel Schweizer)の演奏会のライブのCDであった。
25年率いてきたチューリッヒ交響楽団の音楽監督を離れて、新しいオーケストラを作ったとは聞いていたし、その演奏会が何度か成功したことも知っていたが、その演奏を聞くことができたのは嬉しい限りである。
10月9日にチューリッヒのトーンハレの大ホールで行われたそのコンサートはなんとタンゴのコンサート。
シュヴァイツェル氏はピアソラともよく演奏していた作曲家でバンドネオン奏者のダニエル・ビネリと大変親しく、ヨーロッパのオーケストラでは珍しく彼との共演が多いと聞くが、本職は何と言ってもクラシックの指揮者である。その彼が以前、チューリッヒ交響楽団の演奏会でピアソラの5つのタンゴ(タンゴ・センセーションズ)を演奏したことは知っている(シュヴァイツェル氏からその録音を聞かせて頂いたことがあるので…)が、その見事な演奏ぶりから、こういう企画がいつかできたらいいだろうなと思っていた。そしてそれが現実のものとなったのだ。
今年の夏、チューリッヒでお会いした時、今度、タンゴの演奏会をやるのだと仰っていたが、聞けないのが大変残念だと思っていただけに、こうして録音でだけでもコンサートをご厚意で聞かせて頂き、光栄である。
コンバスに同じく作曲家としても知られるフランチェスコ・オビエタ氏も迎え、彼のコントラバスとオーケストラのためのトッカータとタンゴという曲も演奏されている。更に津田さんもピアニストとして参加していて、見事な演奏を聞かせているという豪華版!
オケのコンサート・マスターには、かつてアルミン・ジョルダンがスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督をしていた時代にそのコンサート・マスターとして、かのペーター・リバールの後を受け継いだ名ヴァイオリニストのツィマンスキー氏が座っている。
彼は、シュヴァイツェル氏が創設し、25年あまりにわたりその音楽監督をつとめたチューリッヒ交響楽団のコンマスでもある。
ソリストとしても一流の腕を持つ彼がコンマスを勤めたチューリッヒ交響楽団の演奏会で、彼の極めて優れたコンマスの仕事ぶりを見た(聞いた)ことがあるが、さすが超一流とはこういうものかと感心というか、感動したものである。
(アルミン・ジョルダンが指揮したシェエラザードやマーラーの交響曲第4番などで彼の名前がクレジットされている他、私はマニャールのヴァイオリン・ソナタやスイスの作曲家たちの作品をまとめたCDを所持している)
オビエタの作品は一種の合奏協奏曲のようなスタイルでモダン・タンゴを作ったというもの。素晴らしい作品だと思ったし、こうした作品をやる時のダニエル・シュヴァイツェル氏は最高である。どうして日本のオーケストラに客演してくれないのだろう!!
またどうして日本のオーケストラはこんな素晴らしい才能を無視しているのだろう!!残念なことだ。CDもすでに二十枚以上がリリースされているというのに…である。
ビネリ氏の作品もいくつか入っているが、実にモダンで面白い。決して現代音楽のような難しげな風貌ではないのだが、とても洒落ている。
ピアソラのような厳しさはないけれど、深い哀感が胸を打つ。
とりわけビネリ氏の編曲になるピアソラの超有名曲「リベルタンゴ」は、とてもユニークで大変な聞き物だった。ピアソラからビネリの作品になっている。これはちょっと感動したし、天国でピアソラもきっと喜んでいるのではないだろうか?
朝から大変興奮して聞いてしまった。夕べの酔いが戻ってきたみたいだった。
こんな演奏会を聞けるチューリッヒ市民が羨ましい…。わが神奈川フィルハーモニーにこのコンビで来てくれないだろうか。きっと凄いことになると思うが…。
by Schweizer_Musik | 2008-11-15 11:37 | 日々の出来事
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