冬の夜の慰めに (34) ブラームスの弦楽六重奏曲第2番
作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名  : 弦楽六重奏曲 第2番 ト長調 Op.36 (1864-65)
演奏者 : カンマームジカー・チューリッヒ Die Kammermusiker Zürich【イェルク・デーラー(vn),アンドレアス・プフェンニンガー(vn),ヴァレリー・デーラー=ムレ(va),コルネル・アンデレス(va),ラファエル・アルトヴェグ(vc),ルチアーノ・ペッツァーニ(vc)】
CD番号 : Jecklin/JD 712-2

何故か、冬という季節とブラームスは合うように思う。特に、彼の室内楽のいくつかは、冬の音楽だ。この作品はその最たるものではないか。
いつもお世話になっているyurikamomeさんのエントリーを読んで、この演奏を思い出して、ちょっと聞いてみようと聞き始めたらもう止まらない。
ブラームスの婚約者でもあったアガーテとの話がこの曲にはついて回るけれど、それがどの程度の信憑性があるのかはともかく、大変叙情的なこの作品が、そうしたブラームスの恋愛とその破局(彼は結局生涯を独身で過ごした…)の物語が何とも似合っているから仕方がない。
私はこの美しいブラームスの作品を、ごりごりと大きな表情をつけて演奏するのには違和感をいつも憶えていた。もっと優しく、秘めたる愛のようなものがこの曲には相応しいのではないかと…。
で、そんな風に思っていて出会ったのがこの演奏だった。この曲のヨーロッパ初演が行われた地でもあるチューリッヒの音楽家たちによるこの演奏に、完全に参ってしまったのだ。
それまで、アマデウス四重奏団による演奏で聞いてきたのだけれど、この演奏の抑え気味の表現から醸し出される楚々とした品の良さは、格別のもので、それまでのこの作品に対する考えを根本から変えるものだった。
燃え上がるような恋情ではなく、心の奥に秘めた思いとそれを断ち切る気位の高さと決意は、大仰に歌い上げるのではなく、こうした抑えた表現の中から生まれるのではないだろうか?
なかなか手に入らなくなってしまったこの演奏を紹介するのは気が引けるのだけれど、こうしたかけがえのない演奏の数々も、このイェックリン・レーベルがナクソスにでも入ってくれれば聞くことができるようになるのではないだろうか?
私はこうした素晴らしい名作、名演が埋もれてしまうのは大きな損失だと思うので、そうした活動がより広まっていくことを切に願う次第である。

この作品についてのWikiの記述もご参考にされたし。
by Schweizer_Musik | 2008-12-12 00:24 | (新)冬の夜の慰めに…
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