マルク・アルブレヒト指揮で聞くシュトラウスの交響詩
作曲者 : STRAUSS, Richard 1864-1949 独
曲名  : 交響詩「ドン・ファン」Op.20 (1887-88)
演奏者 : マルク・アルブレヒト指揮 ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団
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ペンタトーン・レーベルの新しい録音がナクソスにあったので、ちょっと聞いてみた。ストラスブール・フィルとは懐かしい。
昔、ロンバールと来日した時に聞いたこのオケはとてつもないでかい音で度肝を抜かれたものだ。大阪フェスティバルホールの一番上の一番端の一番安い席で聞いたのに、ベルリオーズの幻想交響曲で床が揺れるのを経験した。
あんなことはゲオルク・ショルティとシカゴ交響楽団で聞いたマーラーの他にはなかった…。だからなんだというのだと言われると何も言えないけれど。
CDも何枚かもっているが、ちょっと荒っぽい感じがして一度聞いただけでどこかにやってしまい、今は行方不明である。
で、この録音を聞いて驚いたのはオケの洗練であった。あれっ、こんなオケだったっけとかつての印象と全く違っていたからだ。
弦の響きも実に美しいし、アンサンブルはとても洗練されている。
「ドン・ファン」なんて指揮者としてはその指揮技術を開陳するような作品でこれほどの成果をあげていることはやはり大変立派なことだと思う。
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」も聞いてみてその思いは更に倍増のものとなった。オケの響きがとても良い。録音も素晴らしいし、これは私にとって大発見だった。久しぶりにスコアを見ながら聞き込んでみたのだけれど、難所を鮮やかに切り抜けていく。
昔から有名だった打楽器パートの鮮やかさも印象に残るが、全体としての響きのバランスの良さがまず特筆される。
「死と変容」の音楽ではその美しい響きを心から堪能できる。オケの奏者によるソロもとても美しい出来である。もちろんここにはヘルマン・クレバースもミシェル・シュヴァルベもいない。ライスターもいない…。特にヴァイオリンはこれ以上のソロはいくらでもあるけれど、私はこのソロも楚々として実に美しい演奏だと思った。
また、歌劇「インテルメッツォ」の中の「炉端の夢」という小品が含まれていることも嬉しいことだ。
この曲はこのオペラの中でも特に美しい音楽なのだが、あまり演奏されないので、知られていないけれど、今の季節のピッタリの音楽だと思う。よろしければお聞きいただければと思う。
ナクソス・ミュージック・ライブラリー…なかなかやるもんだ。
by Schweizer_Musik | 2008-12-25 09:09 | ナクソスのHPで聞いた録音
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