ヴィドールのピアノ・トリオ
作曲者 : WIDOR, Charles-Marie 1844-1937 仏
曲名  : ピアノ三重奏曲 変ロ長調 Op.19 (1875)
演奏者 : イロナ・プルニ(pf), アンドラーシュ・キシュ(vn), カーロイ・ボトバイ(vc)
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かつてマルコ・ポーロ・レーベルから発売されたCDをはじめて見た時、自分の無知を思い知らされたものである。若い頃ほど、何でも知っているような気になっていたが、歳を積み重ねるに従い、自分の無知を知るようで、このレーベルから聞いたことのない作曲家の名前や作品が大量に出てきた時には、ベートーヴェンの交響曲やモーツァルトの協奏曲だけを楽しむだけではなく(それも大切な私の楽しみではあるが)、未知の作曲家、作品との出会いもまた楽しということを知ることができた。
このCDはその昔、ヴィドールに室内楽もあるのかぁ〜と「ついでに」買った一枚。もう20年近く前のことだった。
そしてこの一枚を聞いた衝撃は大きかった。すごく良い曲で、魅力一杯。特に2楽章と3楽章は大のお気に入りである。
今は、彼の書いた管弦楽法の本も時々使ったりするので、この作曲家がオルガンばかり書いていたなどというほど無知ではないけれど、されでも我が家にある彼のオーケストラ作品は今もってシャンドスから出たオルガンと管弦楽のための交響曲第三番とOp.42の交響曲だけである。
しかし、室内楽などは少しは聞いている。2曲あるというピアノ五重奏の第2番は一度聞いてみたいと思い続けている…。
フルートとピアノのための組曲はやたらと集まってしまったけれど、ヴァイオリン・ソナタやチェロ・ソナタ、チェロとピアノのための3つの小品などは魅力満載の傑作である。

10曲あるオルガン独奏のための交響曲が体表作群であることは知っているし、一番を除いて(私は第4,第5楽章の抜粋のみを所持している)それらの全てを聞いているし、その魅力はよく承知しているが、今もってこのピアノ・トリオが、私にとってのヴィドールの代表作であり続けている。
ナクソス・ミュージック・ライブラリーにあるし、マルコ・ポーロ・レーベルからナクソス・レーベルに移しての再発売で価格も手ごろとなり、薦めやすくなった。
ロマン派の音楽が好きな方ならきっと好きになるのではないだろうか?
ハンガリーの演奏家たちによる演奏もまずまず。もっとフレーズの歌い廻しが柔軟だといいのだけれど、ちょっと硬い感じがするのは惜しいけれど、贅沢は言えない。
しかし…である。ベートーヴェンやモーツァルトの同じようなCDを更に録音するくらいなら、ヴィドールの5曲あるという管弦楽のための交響曲やチェロ協奏曲(チェロ・ソナタを聞けばこれへの期待は嫌でも高まる…)などを録音してくれないだろうか?
いい加減、同じような名曲主義を脱してはいかがと思う。ナクソスなどの成功がそれを示しているというのに、メジャー・レーベルは…。ああ愚痴を言ってもしかたがないのだけれど、低迷は企画力の低迷でもあるのに、それが変えられない。まっ、そのおかげでマイナー・レーベルが存在できるのだけれど…。
サイモン・ラトルがジョンゲンの全集を録音するとか、ヴィドールの管弦楽作品をまとめて録音するとか…EMIさんも少し考えればいいのに…。きっと売れると思うのだけれどなぁ〜。
つまらない夢物語でした…。さあ仕事に戻ろう。
by Schweizer_Musik | 2009-01-06 10:55 | ナクソスのHPで聞いた録音
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