作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名 : 交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90 (1883) 演奏者 : ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 CD番号 : iTune−Storeで購入(DECCAコンサート・ライブ・シリーズより) この録音がCDで出ているのかは不明であるが、このコンビの録音の中ではとても良い出来だと思う。ブロムシュテットが名指揮者であることは誰もが知っているけれど、それはドレスデン・シュターツカペレを振っていた頃に出来上がったもので、さすがに今年はもう八十才を越えて、かつてのような活躍を期待するのは無理となっている。 しかし、ドレスデン・シュターツカペレの後もサンフランシスコ交響楽団、北ドイツ放送交響楽団、そしてこのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と2005年に退任するまでシェフを務めたのだから実に大したものである。 さてこの曲。私のリファレンスはカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Grammophon/POCG-2317〜9)で、まっ時々カラヤンのデッカ録音やら浮気をしている状態。 で、このブロムシュテットの演奏はというと、全体に緩いなぁという印象である。指揮者のところあたりのバランスで至って音は分離がよく、私のような者にはスコアを追いかけやすく、有り難いものだけれど、音楽としてそれが面白いかどうかは別。 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団も90年代からかなり盛り返しているようで、旧東独のオケの中でも凋落が著しいと思われたこのオケがこういうアンサンブルを奏でるとはやはり21世紀なんだなぁと、わけのわからない感慨を持ってしまったりもした。 しかし、ベームの名演に比べると緩い感じが付きまとう。縦のラインがずれているとかそんな分かりきったミスはもちろんない。ライブ特有の小さな事故はあるけれど、そんなレベルの低いことが問題なのではない。比較的ゆったりとしたテンポをとっているのに、ブレスが浅いというか、タメが浅くフレーズがサラサラしていて残らない…そんな感じなのだ。 有名な第3楽章を聞くとそれが強く感じられる。 弦はビブラートを少なめにして響きをタイトにしているので、声部の風通しがとても良い。ダイナミックな変化も充分で、細かな表現にも心を配った名演だと思うが、やはり遅めのテンポを緊張感をもって保てていないのは今ひとつなのだ。 老境に達したこのアメリカ生まれのスウェーデン人指揮者の円熟の時をもう少し見極めてみたいと思う。
by Schweizer_Musik
| 2009-01-20 09:36
| CD試聴記
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