ドヴォルザークの「野ばと」を聞く
作曲者 : DVOŘÁK, Antonín 1841-1904 チェコ
曲名  : 交響詩「野ばと」Op.110 B.198 (1896)
演奏者 : ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団
CD番号 : Grammophon/435 074-2

大体、ドヴォルザークは交響曲、それも最後の「新世界より」が特別に高い人気で、こうした管弦楽曲があることもあまり知られていないのでは…?
彼の歌劇「ルサルカ」や交響詩などは、ドヴォルザークがアメリカから帰ってきてから書かれたものが多い。ということは彼の円熟した作品群であるはずなのに、意外にもあまり聞かれていない。何故か?
交響詩などはちょっと長いという印象があるのではないだろうか?もう少し短ければ…。オケの定期などに抱き合わせでだせるのだけれど、20分近くかかるとなればもうメインとなる。そうすれば客を呼べる曲にしなくては…。こうして営業の思惑が優先しこの名曲は聞かれる機会を逸することになるのだ。

しかし、「野ばと」などというタイトルからして、暢気なパストラーレだと思って聞き始めたら、冒頭から葬送の音楽がなりはじめ驚かされるに違いない。
この曲は物語を表現しているのだ。

それは…
まず夫を亡くし、嘆く妻。しかしその涙は偽りの涙である。やがて若く美しい男と彼女は結婚する。晴れやかな結婚の場面が音楽で表現される。
一方、亡くなった前の夫の墓の上に一本の樫の木が…。その木に野鳩が巣を作って悲しげな歌を歌うのを聞いた妻は発狂し、自殺する。そう、前の夫は彼女に毒殺されたのだった…。
最後はその死によって全ての罪を前夫が、そして神が許したのだろうか?穏やかな音楽が響き曲を閉じる。

なんとも生臭いストーリーで、そう皆に好まれるようなものではない。だからマイナーなのも仕方がないのかもしれない。でもその音楽の雄弁なこと!!
冬枯れの風景を見ながら聞くと、なんともゾクゾクするような迫真の物語に聞こえてくる。
ドヴォルザークって民族的な素材に基づく…なんてお題目みたいに語るだけでは決して語り尽くせない深さも持っていたのだ。だから「ルサルカ」なんて素晴らしいドラマが書けたのだし、ミサ曲、レクイエム、スターバト・マーテルなどといった宗教音楽も書けたのだ。
やっぱり「新世界より」だけで語ってはいけない…。こんな名曲もあるのだから!!
何枚か録音を持っているけれど、このラファエル・クーベリックが良いと思っている。あとはビエロフラーヴェクとネーメ・ヤルヴィ、ちょっと古いけれどギブソンなどのシャンドスの録音もまずまずの出来で満足できる。古いターリヒなんてのも良かったけれど、これは色々聞いてきた人向き。録音が古く、曲に親しむには少し厳しい。
他、メータがロス・フィルとやったのは、ちょっと弦の響きが硬くて今ひとつの印象だった。元気はよかったのだけれど…。他にもこの曲の録音で色々思いつくけれどこんなところにしておこう。
シャンドスの3つの録音はナクソスにある。一押しはビエロフラーヴェク!でこちら
by Schweizer_Musik | 2009-01-22 10:34 | CD試聴記
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