大栗 裕の「擣衣」を聞く
作曲者 : OHGURI, Hiroshi (大栗 裕) 1918-1982 日本
曲名  : 擣衣 (1969?)
演奏者 : 樋本 栄(sop), 朝比奈 隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
CD番号 : 大阪フィルハーモニー交響楽団/OP-1211

謡曲の「砧(きぬた)」「砧(きぬた)」を素材としてソプラノと鼓とピアノのために書かれた作品である。それをオーケストラ用に直すよう作曲者に勧めたのは指揮者の朝比奈隆氏である。
私がせっせと大フィルの演奏会に通っていた頃、ソリストとしてよく聞いた樋本 栄氏の声も懐かしい。
オーケストレーションの上手いことでは定評のある大栗 裕氏であるから、拙い録音ながら(単なる記録用としてオープン・リールに録られたものらしく、保存状態もあまり…である)その向こうから力強い生命力が感じられる。
晩秋の曲であり、例年10月末から11月にかけて行われていた「大阪の秋」に相応しい作品だと私は思うし、彼の最大の理解者でもあった朝比奈隆氏の隠れた名演として、私は広く知られても良い録音だと思う。
一昨年大阪で行われた朝比奈隆展のプログラムに付録としてついていたCDで、関西クラシック音楽情報で知ってからなんとしても欲しいと思っていた一枚だったが、某オークションに出ていたのを競ったあげく3000円ほどで落札したもの。私はオークションで一枚1000円を超えたら落札しないことにしているのだけれど、これは滅多にない例外だった。
ついでに言えば、松下真一氏のヴァイオリン協奏曲など、聞いたことのないものも多く、音は1969年と1977年の録音というのにモノラルというお寂しいものではあるが、私には宝物である。
ちなみに、朝比奈隆氏の現代ものの指揮はなかなか良い。オケもあの頃の大フィルの響きがスピーカーから流れてきて、ものすごく懐かしかった…。
録音状態が問題だけれど、これを欲しがる人は多いのではないだろうか?どこかちゃんとしたレーベルがいつでも手に入るように出してくれないかな。一番良いのはナクソスに音源を譲れば…(契約などあって多分難しいだろうけれど…)。
by Schweizer_Musik | 2009-02-08 19:17 | CD試聴記
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