作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名 : 交響曲 第2番 ハ短調「復活」(1888-94/1903改訂) 演奏者 : オトマール・スウィトナー指揮 ベルリン・シュターツカペレ, ベルリン国立歌劇場合唱団, マグダレーナ・ハヨーショバ(sop), ウタ・プリーブ(alt) このアルバムは こちら スウィトナーのこの録音は「巨人」と違い1983年11月22日〜12月2日にかけてベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたもので、最新とはいかないまでも、とても良い録音で気に入っている。 私は「復活」はメータのウィーン時代の録音が好きなのだが、スウィトナーの「復活」もまたかけがえのない名演だと思っている。 しかし、第1楽章からこんなに音楽的でスコアに対する深い敬意をもって演奏した録音の存在はとても嬉しいことだ。今朝、ゲルギエフの「復活」を聞いていたのだけれど、それは全く私の好きなマーラーではなかったので、買ったもののどうしようとちょっと悩んでいたのである。 同時に第6番、第7番も買い、第6はちょっと聞いて興味を失い、第7は聞く気にまだなっていない。「巨人」は評判も良いみたいなのでまずはこれからと思って聞きはじめて、前エントリーのように、全く私の好みではなかった。 実はここは、スウィトナーでなく、ゲルギエフの「復活」について書きかけたのだけれど、聞けば聞くほど書くことが無くなってしまい、ついに止めてしまうという仕儀に立ち至った次第である。 しかし、ゲルギエフと何と違うのだろう。オケはどちらも優秀だし、録音も優秀だ。ただライブと録音用セッションの違いはあるだけである。でも出てきたものの結果は大きく違う。 第2楽章の気品に満ちた表現は、スウィトナーのくり出すテンポが完璧だから出来た世界だと思う。テンポを落としたりして音楽の隈取りを深くして、印象を強めたくなるところを、実に微妙なテンポの変化であっさり気味に過ぎていくのが、美しい弦の響きとともに、なんとも気品に満ちていてやっぱりこれだなと痛感させられてしまった。こうしたテンポの取り方だからこそ、短調に変わってふっとテンポをあげて驚かせるマーラーの魔術に素直にひっかかれるわけなのだ。 第3楽章はこの演奏の中でも第2楽章とともに白眉と言える出来映えである。(いや、どこも良いのだけれど、特に魅惑的であると言う意味である。他はここより劣るという意味ではない) 力強いスケルツォとロットの交響曲からの引用とも言われているトリオの優しい歌の見事な対比は、スコアに何も足さず、何も引かない、正攻法の勝利だと思う。オケの威力がアナログ録音の最高峰のような優秀録音の彼方から聞こえてくる!!本当にこの録音、マスタリングは良いと思う。 第4楽章のアルト・ソロはよく健闘している。ルードウィヒだったらなんて無い物ねだりをしても仕方がないが、ちょっとだけそれは感じた。 しかし、オーボエのソロ、金管のコラール風のハーモニー、なんて美しいのだろう。ヴァイオリンのソロは今ひとつ魅力に欠ける。このあたり、クレバースやヘッツェルがいたらなどとまたまた無い物ねだりしてみたり…。 しかし、これはわずかな不満でしかない。 トータルで言えばこの演奏の与える充実感はとてつもないものだ。 終楽章のスケールの大きな演奏、優秀な合唱、二人の優れた歌手とともに特筆すべきだろう。いや、この演奏を「復活」の最も優れた演奏にあげる人がいても私は全くおどろかない。 これとメータ、ハイティンクの録音があれば、とりあえず私は他はなくても特に困らない。 ナクソス・ミュージック・ライブラリーの会員の皆さんでマーラーがお好きな方はぜひ一度ご賞味あれ!!
by Schweizer_Musik
| 2009-02-22 22:17
| ナクソスのHPで聞いた録音
|
最新の記事
お気に入りブログ
六国峠@ドクター円海山の... たんぶーらんの戯言 ドイツ音楽紀行 DRACの末裔による徒然の日々 フォルカーの部屋 私たちは20世紀に生まれた 長坂道子「ときどき日記」 dezire_photo... 検索
Schweizer_MusikのLINK集
---------------------
一応?私の公式ページです。 スイス音楽紀行 -------------------- ============ チューリッヒ在住の本格派 ピアニスト 津田理子のページ --------------------- ピアニスト高木早苗さん --------------------- ピアニスト岡本暁子さん --------------------- サックス奏者伊藤晃のブログ LIFE is...one time --------------------- スイス各地のライブ映像 TOPIN/SWISS --------------------- スイス国鉄 --------------------- スイス政府観光局 --------------------- ハンブルグ日記 +ドイツ音楽紀行 --------------------- DRACの末裔による徒然の日々 --------------------- クラシック音楽のニュースと リンク集 CLASSICA --------------------- スイス・ロマンド管弦楽団 --------------------- チューリッヒ交響楽団 --------------------- トーンハレ管弦楽団 --------------------- チューリッヒ室内管弦楽団 --------------------- チューリッヒ歌劇場 --------------------- バーゼル交響楽団 --------------------- バーゼル室内管弦楽団 --------------------- ベルン交響楽団 --------------------- ヴィンタートゥーア・ コレギウム・ムジクム --------------------- ルツェルン祝祭弦楽合奏団 --------------------- イ・サロニスティ --------------------- ルツェルン国際音楽祭 --------------------- ヴェルビエ国際音楽祭 --------------------- メニューイン音楽祭 --------------------- 便利ページ --------------------- 書籍検索のページ ライフログ
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||