オーパス蔵…カザルスによるバッハの無伴奏は良かったけれど…
作曲者 : BACH, Johann Sebastian 1685-1750 独
曲名  : 無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV.1007 (1720)
演奏者 : パブロ・パウ・カザルス(vc)
CD番号 : OPUS蔵/OPK2041〜2

安いので、つい何枚か衝動買いしてしまったオーパス蔵のCDであるが、気に入ったのはこれだけだった。SP盤の板起こしとしては針音がやたらと五月蠅いのは、確かにそれをイコライジングして針音をのぞけば、楽音も削ってしまうことになるというジレンマはわかるが、やはり針音が気にならないなどと嘘を書く気にはならないが、このカザルスのバッハはそれ以上にチェロの音が今まで聞いたどの復刻盤よりもチェロらしい響きを保っていて、ようやくこの演奏の良い復刻に出会えた気分である。
演奏について、今更私が書くまでもないだろう。これほどユニークで底知れぬ深さ、どこまでも広がっていくパースペクティヴを感じさせる演奏は滅多にあるものではない。
第1曲のト長調の組曲の前奏曲。バロックの時代の不等速音符の伝統を受け継ぐスタイルでおおらかに少し揺れ動くように歌い始めると、もう聞くものを金縛りにしてしまうような力で聞く者の心をつかんでしまう。
古い録音だからあまり期待しすぎてもどうかと思うが、このCDはやっと満足のいくものとして推薦できる。二枚組をタワーで1000円だった。多分売り切れゴメンなのだろうが、これは買いだと思う。ただ、他は全部で5枚ほど買ったけれど、私は針音があれほど派手に鳴り響くのはちょっと…。

ナクソスにもあるが、EMIのものほどではないけれど、やはり鼻つまみの、ちょっと変な音であった。(こちら)
by Schweizer_Musik | 2009-04-05 17:44 | CD試聴記
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