パレーの「田園」…うーん…イマイチ
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲 第6番 ヘ長調「田園」Op.68 (1807-08)
演奏者 : ポール・パレー指揮 デトロイト交響楽団
CD番号 : Mercury(TOWER-RECORDS企画)/PROA-287〜88

ベートーヴェンのこの曲を、パレーがどう料理するかと思い、購入したものである。そして期待に違わず、パレーらしい演奏が繰り広げられ、大変面白かった。モノラルながらとても良い復刻で、聞きやすいものだった。
第1楽章はAllegro non troppoなので、これは速い。Allegro vivoもしくはAllegro con brioと言っても良いだろう。non troppo(ほどほどに…)はいささか無視された感のあるテンポで、私には速すぎると思う。「田舎について晴れ晴れとした気分がよみがえる」というのが楽章に添えられたベートーヴェンの言葉である。こんなにせかせかしていて良いのだろうか?
テンポの速い演奏と言えば、ヘルマン・シェルヘンのウィーン国立歌劇場管弦楽団を振ったステレオ録音を思い出すが、あれもセカセカした「田園」だった。(シェルヘンのモノラル録音の方はあんなに速くなかった。ルガーノのオケとのライブも速かったけれど、あれは表情豊かな演奏で、速さをあまり意識させなかった…)
第2楽章以降はこれほど極端ではなく、速めのテンポであるという程度ではあるのだが、キビキビとした演奏には変わりない。だから「小川の情景」は流れの早い小川で、そのうち滝に流れ込むのではと思った…(笑)。
男性的な楷書のベートーヴェンであるが、この「田園」は私の好みではなかった。

追記
すみません、ドクター円海山さんのご指摘のように3月31日に書いていました。あのときはそれほどに思わなかったのに、速いテンポのシェルヘンなどの演奏と聞き比べてみたりしている内に、全く別の印象を持って、書いたことすら忘れていました。
実は、シェルヘンのルガーノ盤で書き始めて、これを聞いて、書いたことをすっかり忘れて今度はこきおろしてしまいました。私の耳なんていい加減なものとつくづく思います。
しかし、3楽章以下はなかなか良いもので、この解釈に慣れて来ているのか、聞けるなぁと思っていました。
しかし、シェルヘンの表現に対する執念のような意欲は凄いもので、パレーのこの演奏をはるかに凌駕していました。そのうち書いてみたいと思っています。
by Schweizer_Musik | 2009-04-11 16:59 | CD試聴記
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