エルネ・ドホナーニの六重奏曲
作曲者 : DOHNÁNYI, Ernö (Ernst von) 1877-1960 ハンガリー
曲名  : 六重奏曲 ハ長調 Op.37 (1935)
演奏者 : オリヴァー・トリエンドル(pf), アンサンブル・アヒト
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ピアノ、クラリネットにホルン、そしてヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという面白い編成の曲だが、かくれた名曲とはこのような作品にこそ相応しいのではないだろうか?
バルトークより四歳年上であったが、同窓生と言っていいのかもしれない。しかしバルトークよりもずっと後まで生きたこのハンガリーのこの巨匠は、ブラームスの流れを汲む、後期ロマン派的な語法を終生守った。その点でもバルトークとずいぶん異なる音楽家であったし、名前も作品を発表する際には常にエルンスト・フォン・ドホナーニというドイツ語の名前を使っていたというほどで、民族的な語法に傾斜していったバルトークとは対照的でもある。

とは言え、今日では指揮者となったその孫の方が有名かも知れないけれど(ちなみに法律家となった息子は反ナチスとユダヤ人保護をドイツで行ったことで、1945年に処刑されている)、生前はピアニストとしても高名だったこともあり、名演奏家としても有名だった。
その彼が1935年に完成させたこの作品は、あまりない編成であるにも関わらず、比較的よく演奏される作品であるところにからも、この曲の魅力が広く知られていることがうかがえる。
スケールの大きな作品で、ハ長調とあるわりには緊迫した音楽で、大戦前の世相を反映しているというのは、ちょっと踏み込み過ぎた解釈であろうが、この作品はどこか抜き差しならないものを持っているように私は感じる。
この緊張感はマーラーなどとは全く異なり、どこにもアイロニーの滑り込む余地のない健全さをベースにしているところがおそらくドホナーニのドホナーニたる所以なのであろう。
アンサンブル・アヒトをはじめてする面々はいくつか聞いてきたけれど、これほどまでに目覚ましい演奏は無かったのではないだろうか。名作に出会い、開花したみたいだ。
広くお薦めできる名作、名演だ。
by Schweizer_Musik | 2009-05-18 15:33 | ナクソスのHPで聞いた録音
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