アメリンクとデムズによるハイドンの歌曲全集
作曲者 : HAYDN, Franz Joseph 1732-1809 オーストリア
曲名  : 神よ、皇帝を守らせたまえ! Hob.XXVIa-43 (1797) (ローレンツ・レオポルド・ハシュカ詩)
演奏者 : エリー・アメリング(sop), イェルク・デムズ(pf)
CD番号 : DECCA/UCCD-4088/9

弦楽四重奏曲の緩徐楽章の主題ともなった音楽の原作?というより、原作は弦4の方だが、どうもこの曲は歌の方が印象深いのは年のせいかも知れない。私には、この曲がドイツ国歌として聞いた記憶の方が大きいのだ。
まっ、後付の歌にしてはよく出来たものだと思う。
しかし、こうしてまとめてハイドンの歌曲を聞くと、このジャンルがハイドンの作品の中で今もって無視され続けていることに失望を禁じ得ない。
アメリンクの録音も一枚にまとめられたものが以前出ていて、それはもちろん持っているのだけれど、この皇帝讃歌をはじめ1781年頃に書かれた2つの歌曲集や単品での作品は全く聞くことが出来なかっただけに、この名盤の復活(それも低価格で!!)をまずは喜びたい。
しかし、かつてはフィリップス・レーベルであったのに、今回はデッカ・レーベルとなっているあたりに、時の流れを感じずにはいられない。私にとっては、愛着のあるレーベルなので、ユニバーサルなどという野暮で、大きいばかりで全く企画力のないレーベルなどどうなっても良いと思う。
それにしてもジャケットもなんて粗末なのだろう。それに比べて音楽の優美なこと!!ハイドンがいかに優れた音楽家であったか、これを聞くと誰もが痛感するに違いない。
確かにドイツ歌曲の伝統はゲーテの親友であったツェルターあたりから出発したものらしいし、その流れがエステルハージーなどという超がつく田舎には伝わることはなかった。
だから、ハイドンが本格的に歌曲の作曲に向かうことはほとんどなかった中で、1781年頃からわずかであるが、ここにある作品群が書かれたことで、彼が様々な分野で素晴らしい才能を聞かせたことの証左となったのである。
デムズのいささか辿々しいようにも聞こえるピアノは、実はとてもチャーミングな表情を隠していて、それに耳を澄ませながら、歌の描く世界を伴奏が控え目にフォローしていく様は、とても楽しく充実した時間である。
LP時代からの愛聴盤が、完全な形でようやく聞くことができるようになったことを、心から喜びたい。
わずか2000円。LPの時よりずっと安く、そして国内盤だから対訳もついてくる。ジャケットというか解説のデータが古いとか、デザインがいかにもおざなりで、センスなしである点をのぞけば、内容は素晴らしいものだ。
ユニバーサル・レーベルという大きなレーベルになってから、こうした優れた企画がなされたことがどれだけあるだろうか?
ベートーヴェンの交響曲やショパンの有名曲を録音したりするだけでなく、長い目でみてさすがと言えるような企画で私たちを喜ばせてほしいものだ。例えばこのハイドンの歌曲全集のような…。
by Schweizer_Musik | 2009-05-31 16:27 | CD試聴記
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