シチェドリンの管弦楽のための協奏曲 第1番「お茶目なチャストゥシュカ」
作曲者 : SHCHEDRIN, Rodion Konstantinovich 1932- 露
曲名  : 管弦楽のための協奏曲 第1番「お茶目なチャストゥシュカ "Naughty Limericks"」(1963)
演奏者 : ミハイル・プレトニョフ指揮 ロシア・ナショナル管弦楽団
CD番号 : Grammophon/UCCG-1060

大分前のリリースで、録音も1998年モスクワ音楽院大ホールでのもので、もう10年ほど前。国内盤のCDは手に入りにくいと思われるが、iTune−Storeにはあるので、ネットでダウンロードして聞く分には比較的容易であろう。
シチェドリンと言えば、はやりバレエ組曲「カルメン」が有名だけれど、多作家である氏は初期はこうしたポピュラリティーあふれる作風の音楽も書いていたのである。
ドラム・セットではないにしてもそれを意識したリズムが鳴り続けるスタイルは、大変上質でこうした良い演奏で聞くのは実に楽しいものである。
シチェドリンは自身が優れたピアニストでもあり、ピアノのための前奏曲集なフーガなどもあるが、この自作自演もナクソスにある(こちら)が、かつて新世界レーベルの出来の悪いLP(薄っぺらなジャケットが思い出される…)でよく聞いたものである。ちょっと私の作風と似ているなと、最近気がついたけれど、これは偶然である。合成音階による近代モードでフーガなどを書けば自然と似た感じになってしまう…。
それはともかく、この作品はシチェドリンの作品の中でも飛び切りの親しみやすい作品として、広く薦められる一曲である。
この音源ではないが、ナクソスにはテオドレ・クチャル指揮 ウクライナ国立交響楽団の音源がある(こちら)。まずまずの演奏だとは思うが、プレトニョフの目も覚めるような引き締まった演奏を聞いた後ではなんとも生ぬるく感じてしまうのには困った…。やはり、ダウンロードが駄目なら中古で探してもらうしかないが、この演奏はとてもとても素晴らしいのでその価値は充分にあると思う。
ちなみにプレトニョフは有名な「カルメン」も入っているが、これもまた目も覚める名演!!カルメンに関してはユーリ・トゥロフスキー指揮 ムジチ・ドゥ・モントリオールの録音もナクソスにある(こちら)が、現在のところ、私が持っているこの2つの演奏が東西の両横綱である。
そうそう、敬愛する現田茂夫氏が京都市響を振ったもののエアチェックをyurikamomeさんのご厚意により聞かせていただいたが、若干残響が深すぎて、編成もこの曲のコンパクトな響きに対して大きく感じる。ダイナミックな演奏で聞かせどころたっぷりの曲故に、これはやはり実演で聞くべきだと思った。(行かれた方々が羨ましく感じた次第である…)。
ティンパニーがやたらでかくて、もっと締まった音であればと思ったのだが、これは多分録音のせいだろう。アンビエンスを深くとりすぎたせいと思う。弦楽合奏と打楽器群というコンパクトな響きがもう少し出ていた方が良い。よく聞くと素晴らしい響きで、現田節があちらこちらに散りばめられていて、とても素晴らしい。
こんな上手いアレンジってやはり凄いと思うし、よくぞハチャトゥリアンが断ってくれたものだ(最初この曲のアレンジをハチャトゥリアンに頼んだ名プリマのプリセツカヤに「君のご主人に頼み給え。彼は天才だよ」と言ったというが…そのおかげでこの名編曲が生まれたのだった)
色々と話が飛んでしまったけれど、近代音楽がお好きなら一度ご賞味あれ!!
それにしてもこんなにきれいにFMが入る地域が羨ましい。私の家ではどうやっても雑音だらけになるからである。
by Schweizer_Musik | 2009-07-21 20:52 | CD試聴記
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