河村尚子さんのショパン 舟歌
作曲者 : CHOPIN, Frédéric François 1810-1849 ポーランド
曲名  : 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 (1845-46)
演奏者 : 河村尚子(pf)
CD番号 : BMG/BVCC-31115


河村尚子さんは、2003年のゲザ・アンダ・コンクール三位、2006年のミュンヘン・コンクール二位、クララ・ハスキル・コンクール覇者という。現在彼女はハノーファー国立音楽芸術大学ソリスト課程に在籍中だということであるが、素晴らしいピアニストであることを一聴して理解することができる。
彼女の音楽性の高さは素晴らしいものだ。ただ響きが少し硬質でフォルテの時にやや耳障りにならないこともない。また音色の変化がやや単色で、タッチでの細やかな変化とともにメカニックな点で後一歩と思うところもある。
ショパン晩年の円熟の作品であるこの舟歌を、上質のテンペラメントで歌い込んだこの演奏は、様々な過去の名演に比肩して全く劣ることのない見事なものである。
この曲とともに何曲か入っている夜想曲は彼女のピアノの特性にマッチしているのだろう。実に美しい。
しかし、バラード第3番やワルツ第2番も良い演奏なのだけれど、硬質なタッチがフォルテで若干気になってしまうのが、惜しいところだ。
また些細なことではあるが、バラードでは若干ブレスが浅く感じてしまった。しかしそんなことはどうでも良くなるほど伸びやかな歩の進め方に心奪われる。この人の演奏はどんな時でも淀みなく歌い、流れていくが、その肌触りの上質なことと言ったら!
更に、即興曲第2番嬰ヘ長調の美しさに賛辞を捧げたい。よく揃った走句の一つ一つの音符が珠を転がすように響かせていく。それは彼女の最高の瞬間だと思う。ただこの曲でも最後のフォルテはやはり若干硬質に感じてしまい実に惜しいと思うのだ。
彼女の実演ではどうなのだろう。一度聞きに行きたいものである。

上の写真は、この人が優勝したハスキル・コンクールが開かれるヴヴェイのレマン湖畔のプロムナードの風景で、ジュネーヴの方を写したもの。下の写真は、同じ場所からモントルーの方を撮ったもので、岬に隠れているが有名なシヨン城がこの方角にある。
美しいスイスを思いつつ今日はこのあたりでおしまい…。

by Schweizer_Musik | 2009-07-25 21:32 | CD試聴記
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