祝ブレンデル世界文化賞受賞
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 (1800-03)
演奏者 : アルフレート・ブレンデル(pf), ジェームズ・レヴァイン指揮 シカゴ交響楽団
CD番号 : PHILIPS/30CD-386〜8

もうずいぶん昔のCDを取り出してしまったけれど、引退したアルフレート・ブレンデルに世界文化賞が贈られたことで、久しぶりに聞いてみたくなったもの。
九州に住んでいた頃に買ったもので、当時はベートーヴェンのピアノ協奏曲のLPはたくさん持っていたけれど、CDはこれだけしか持っていなかったから、耳にタコができるとはこういうことかというほどよく聞いた。
ピアノの出だしのところに不協和音をブレンデルがとても上手く響かせているのに感心したりしたものであるが、緩急の変化を大きくとった演奏にずいぶん驚いたものである。ハイティンクとの旧盤はもう憶えていないけれど、その時は、その思い切った演奏にライブ故の即興性が加わったものと解釈して楽しんでいたけれど、ホントのところはどうだったのだろう。
それにしても、今回の世界文化賞はなかなか斬新で、写真家の杉本博司氏が選ばれたのにも驚いた。少しは知っていたつもりだが、絵画部門で選ばれたのにも驚いたけれど、写真というものがまだ表現としての可能性を持ち続けていること、その最後の輝きかも知れないなと思ったりした。(門外漢の勝手な感想ですので、捨てておいてください…)
まっ、おかげで、彼の代表的な写真をいくつかネットで検索してみることができたし、その興味深いコンセプトなどについてもWikiで知ることができたのもこの世界文化賞受賞のニュースのおかげであった。
あっ、アルフレート・ブレンデルからちょっと逸れてしまったようだ。もとに戻そう。
この3番の協奏曲の終楽章の入りの柔らかなタッチは他の演奏ではあまり味わえない独特のもので、アルフレート・ブレンデルは録音ではかなり思い切った解釈でことにあたっている。そしてそれによって個性的な演奏をここで確立しているのである。実際「そう来たか」とニヤッとする場面は満載している。よく知っているつもりのベートーヴェンがとても新鮮に聞こえ、20年ほど前のまだ若かった私は夢中になった。
かつてはグルダやスコダ(…だったっけ?)とウィーン三羽烏と言われ(こういう表現自体昭和だなぁとつくづく思うけれど)、颯爽と音楽界に登場したブレンデルも、いつの間にか引退してしまった。1931年生まれだから、もすぐ80才。できればもっと弾いていてほしいけれど、普通なら楽隠居していてもおかしくないお歳である。
でも授賞式の様子がニュースで流れ、元気な姿を見て、ちょっとホッとした。
彼の残した録音を少しずつまた聞き返してその芸術について考えてみたいと思う今朝のニュースでもあった。
by Schweizer_Musik | 2009-10-23 07:34 | CD試聴記
<< 温故知新 Vol. 1 ワルタ... ジャン=エフラム・バウゼの弾く... >>