作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名 : 交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」Op.55 (1803-04) 演奏者 : ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ダウンロードはこちらからどうぞ 1944年12月録音の有名な「ウラニア」の「エロイカ」である。何故そういう言い方をするのかというと、戦後しばらくして、これをウラニアというレーベルが演奏者のオーソライズをとらないままに発売し、フルトヴェングラーから発売差し止めの裁判を起こされ発売中止となったことによる。 そのあまりに名演ぶりに、噂を呼んで、これのウラニア盤のLPは一時一枚20万ほどの値段で中古市場で取引されたこともあるそうだが、フルトヴェングラーが亡くなった後、いくつかのレーベルから正規に発売され、CD時代になっても何種類ものこの演奏のCDが存在する。 LP時代で発売された中で、私はフォナタナが発売した廉価盤のレコードを持っていた。7番のレコードは実際にはアンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルの録音の音を悪くして偽装したもので、後にこのことが判明して問題になったりもした。 フルトヴェングラーのライブ録音は、世界中のマニアが探し回るようになったが、天国のフルトヴェングラーはこの現状を見て苦笑しているに違いない。 さて、この(ウラニアの)「エロイカ」は1944年12月にウィーンで行われた演奏会のライブ録音である。ウラニアが発売したものをおそらくほぼそのまま出したフォンタナ盤は半音ほどピッチが高かった。当時のウィーン・フィルの演奏はずいぶん高いピッチのものが存在し、ブルーノ・ワルターとウィーン・フィルのEMI盤なども極端にピッチが高いものが存在する。しかし半音というのはちょっと問題がある。 今日、板起こしと言われる発売当時のLPから原盤を制作したもので、ウラニアのLPをそのままCDにしたものも存在し、私はそうしたものも持っているが、それは確かに半音ほどピッチが高い。他の原盤から(旧ソ連がベルリンなどから接収して勝手に持ち帰ったテープなどからいくつもコピーが作られ、それから原盤を作ったものが多いそうだ)作られたCDなどではピッチはほとんどが直されている。演奏時間もウラニア盤に比べて第1楽章や第2楽章で約30秒ほど長くなっていて、純粋にテープの回転数の問題だったように思われるが、門外漢の私にはこれ以上の言及は不可能である。 しかし、その昔、フォンタナ盤のLP(確かFCM-50という番号だった…)で聞いた演奏は強烈なインパクトを当時中学生の私に与えた。安物のLPプレーヤーから聞こえてくる強烈な演奏は緩急自在で巨大なスケールで迫ってくるものだった。 ワルターの40番の次に夢中になったのはこれであった。手元にはブルーノ・ワルターの指揮したステレオ盤の「エロイカ」もあったし、それも決して悪い演奏ではなかったにも関わらず、圧倒的なフルトヴェングラーの演奏に私は完全に参ってしまった。 第2楽章の葬送の音楽を初めて聞きた時は涙が出て止まらなくなってしまった。こんな絶望感て私には理解できなかったけれど、その説得力はもう圧倒的だった。 これはもうパブリック・ドメインとなり、いくつかのサイトでそれが公開されている。上記サイトの他にもこちらでもmp3で聞くことはできるし、ダウンロードもできる。 CDなら、"BAYEL DACAPO/BR 200 002 CD"が良かったが、こちらで聞くことができるTurnabaut TV4343というLPからデータ化したものは、とても聞きやすく、その昔フォンタナ盤を聞いた時の感動を思い出させてくれるものである。 当時、常にゲシュタポの監視が付いていたフルトヴェングラーは、ナチスに対する反対勢力として抹殺される寸前だった。彼がスイスに亡命するのはこの一ヶ月あまり後の事であるが、そんな時代の証言としてもこの録音は非常に重いものを持っている。 高校受験前の私の心を音楽へと強烈に揺さぶった名演を今では容易く聞くことが出来る。CD時代のはじめこんな時代が来るなんて想像だにしなかったが、そうなってみると時代がずいぶん経ったのだなとつくづく思う。 フルトヴェングラーが亡くなってすでに55年。ライブで残した録音のほとんどが世に出てしまったことだろう。そんなブームを作った原点であったのがこの録音であった。 激烈な「エロイカ」である。知らない方ならぜひ一度ご賞味あれ!! 前回のブルーノ・ワルターの40番に続いてのシリーズであるが、タイトルを「温故知新」にしました…悪しからずご了解くださいませ。
by Schweizer_Musik
| 2009-10-25 03:36
| パブリック・ドメインの録音より
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